おりじなる童話
吉永光治のおりじなる童話 おかあさんのて 「おかあさん てを みせて」 ともこが だいどころに くると せなかに とびついて いいました。 「いそがしいから あ・と・で」 「ちょっとだけ」 「はいはい」 おかあさんは ぬれた てを エプロンで さっと ふくと …
吉永光治のおりじなる童話 かきのみ 一つ あさ ともこが ごはんを たべていたら 「にわの かきのき きって しまうか」 おとうさんが しんぶんを よみながら いった。 「そうね…もう かきは ならないかも しれないわ」 おかあさんは おちゃわんを あらいなが…
吉永光治のおりじなる童話 つるになった おかあさん あるむらに おひさという おんなのこが いました おひさは いつも ひとりぼっちです。 それは おひさが ちいさいとき おかあさんも おとうさんも しんでしまったからです。 おひさに おかあさんが のこし…
吉永光治のおりじなる童話 おならがわらった 「ブブーッ」 ぼくが へやで けんちゃんと かずちゃんと ほんを よんで いたら おならが なった。 「ぼくじゃないよ」 けんちゃんが すぐ いった。 「ぼくと ちがうよ」 かずちゃんが ぼくのかおを みながら いっ…
吉永光治のおりじなる童話 あかいはっぱはおかあさん ともこが ようちえんから かえってたら そらから あかい はっぱが いちまい おちて きました。 「うあー きれい」 ともこは ぐーつと せのびをして はっぱを つかもうと しました。 「あっ だめっ」 はっ…
吉永光治のおりじなる童話 いぬがそらにむかってほえるのは 「いぬを さんぽに つれて いってちょうだい」 ぼくが いえに かえったら おかあさんが ゆうごはんを つくりながら いった。 「あした いくよ」 「あした あしたって いつも いって いかないじゃな…
吉永光治のおりじなる童話 くるまにひかれたの だあれ 「うあー」 くみこが なきながら いえに かえって きました。 「どうしたの」 おかあさんが ききました。 「ひかれたの」 くみこは なみだを ちいさなてで ふきながら いいました。 「だれが ひかれたの…
吉永光治のおりじなる童話 しんせつくんはわすれんぼ あさ こうきが タクシーで がっこうに きた。 こうきが おりると ともだちが どっとよってきた。 「タクシーなんかに のってきて どうしたの」 「なにか あったの」 ともだちが こうきを まるくかこんだ…
吉永光治のおりじなる童話 ふしぎなサボテン やまさんが よみせで サボテンを かいました。 「さあさあ ふしぎな サボテンだよ。しろい おおきな はなが さくよ。かった かった」 やまさんは ちょうしのよい こえに すいこまれるように てを だして かってし…
吉永光治のおりじなる童話 よっぱらった き ゆうがた ガラガラー げんかんの ドアが あいた。 「ただいま~」 おとうさんの よろよろ ごえが きこえてきた。 「おさけ のんで きたんだ」 ぼくが げんかんに でてみると おとうさんが だいのじに なって ねて…
吉永光治のおりじなる童話 とうさんのタイコ 「ランドセルを かたづけんか」 とうさんの こえが げんかんから へや いっぱいに ひびいた。 「はーい!」 ぼくは げんかんに はしっていった。 とうさんの こえは いまかえったぞ の あいずみたいなものだ。 か…
吉永光治のおりじなる童話 はな あきこが おかあさんの へやで きょうだいの かがみを のぞきこんでいました。 「どうかしたの」 おかあさんが へやに はいってくると ききました。 「どうも しないわ」 あきこは へやを ぷいっと でていきました。 どうもし…
吉永光治のおりじなる童話 しゃしん 「ともこ!」 おかあさんが よびました。 ともこは へんじを しません。 あさから ともこは ぷんぷん おこっていました。 どうしてかと いうと それは このあいだの にちようびに どうぶつえんに あそびに いったとき お…
吉永光治のおりじなる童話 つきよのばんに つきの あかるい ばんです。 みつおさんは かわの そばの いしに すわって きかなを つって いました。 「ちっとも つれないなあ」 うきを じっと みつめて いると ねむくなります。 ふっと きがつくと つきが たか…
吉永光治のおりじなる童話 おばけとんぼ ぼくがあそびから かえるとちゅう はしを わたっていたら かわらを トンボが すいすい とんでいた。 「うあい トンボだ。とりに いこうっと」 ぼくは いそいで はしを わたって いえに かえった。 うらにわの そうこ…
吉永光治のおりじなる童話 おつきさん つきの あかるい ばんです。 くまのこ コロくんが おかあさんに ききました。 「おつきさん いくつ あるの」 「なにいってるの おつきさんは ひとつですよ」 「ちがうよ たくさん あるんだい」 「ほら みてごらん」 お…
ボール おじいさんが へやで ほんを よんでいたら 「ガチャーン」 まどガラスが われて ボールが とびこんできた。 「また こどもたちだな」 おじいさんは ボールを つかむと まどから かおを だした。 「あれっ」 そとは しーんと しずかだった。 「へんだ…
吉永光治のおりじなる童話 ぼうし 「どんな ぼうし かってくるかな」 おかあさんが いま かいものに でかけたとこです。 ともこはへやで えほんを みていました。 えほんのなかは ぼうしがいっぱい。 あかいりぼんのぼうし つばひろのぼうし はなのついたぼ…
おばあちゃんのせんぷうき なつが くると ぼくの おばあちゃんは おしいれから ふるい いろの はげた せんぷうきを だしてくる。 「また ふるい せんぷうきを だして……クーラーを いれて ちょうだい」 おかあさんは かおを しかめて いう。 おばあちゃんは …
吉永光治のおりじなる童話 アイスクリーム ぶたの トンコと トンキチは のはらで あそんで いました。 「あつい あつい アイスクリームが たべたいわ」 トンコが あせを ふきふきいいました。 「ぼくが かってこよう」 トンキチは はしって おみせに いきま…
吉永光治のおりじなる童話 ほしのおじさん 「あっ わすれてきた」 ぼくは ばんごはんを たべてたら ふっと おもいだした ひるま いけに さかなつりに いって つりざおを わすれて きたんだっけ。 「ごちそうさま」 ぼくは ごはんを すませると あわてて いえ…
吉永光治のおりじなる童話 せんぷうき 「あつい あつい」 ぼくは あせを とばしながら へやにとびこんだ。 クーラーの スイッチを いれようと てを のばしたら 「せんぷうきを かけなさい」 おかあさんが でてきて どなった。 「おかあさんのけちんぼ」 ぼく…
吉永光治のおりじなる童話 かげぼうし そらに おひさまが ぎらぎら ひかっていました。 にわに みかんが たくさん なって います。 こどもたちが みかんを みあげて いいました。 「おおきいな」 「たべたいな」 「いいにおい」 うれしそうな こどもたち う…
吉永光治のおりじなる童話 いす ぼくが いすに すわって マンガを よんでいたら 「けんちゃん」 だれかが ぼくを よんだ。 「なあーに」 ぼくは ふりかえった。 へやには だれも いなかった。 「おかあさん ぼく よんだ?」 だいどころに いって きいたら 「…
永光治のおりじなる童話 いちまいの え ぼくは おとうさんと えの てんらんかいを みにいった。 てんらんかいは ひとが いっぱいで うしろから おされながら えを みていた。 「あれっ」 おとうさんが ぼくの そばから いなくなっていた。 「どこに いったの…
吉永光治のおりじなる童話 ゴリラになった ごんた あるむらに てっぽううちの めいじんが いた。 なまえは ごんた。ねらった えものは いちども にがした ことが ないのが じまんだった。 あるひ ごんたは やまに でかけた。 いつもは やまに はいると すぐ …
吉永光治のおりじなる童話 ガラスのコップの話 だれがおとして わったのか ガラスのコップが ないていた つきよのばんに ないていた コップのなきごえ きいたのか にわのこおろぎ やってきて ガラスのコップに ききました 「どうして ないているのです」 コ…
吉永光治のおりじなる童話 おふろへおいでよ 「はやく おふろに はいりなさい」 おかあさんが よぶのは 三かいめ。 「はーい すぐはいりまーす」 おかあさんの こえに はじかれるように ぼくは ふろばへ はしった。 いそいで ふろの ふたを あけて はいろう…
吉永光治のおりじなる童話 おともだち ほしいの くみの うちは ひろい のはらの まんなかに いっけん ぽつんと たって いました。 おとうさんも おかあさんも おしごとにでかけて ゆうがたまで かえって きません。 いつも くみは ひとりぼっちです。 「とも…
吉永光治のおりじなる童話 あめ ともこは ともだちの はるちゃんと のはらに はなを つみに いく やくそくをしました。 ともこが へやで ほんを よんでいると 「あらあら あめが ふりだしたわ」 おかあさんが あわてて せんたくものを とりこんで きました。…