おりじなる童話 あかいはっぱはおかあさん

吉永光治のおりじなる童話

あかいはっぱはおかあさん

ともこが ようちえんから かえってたら そらから あかい はっぱが いちまい おちて きました。

「うあー きれい」  

ともこは ぐーつと せのびをして はっぱを つかもうと しました。

「あっ だめっ」

はっぱ ばかり みていたので いしに つまずいて ころんで しまいました。

ともこの めのまえを あかい はっぱが くるくる じめんを ころげていきます。

「まって」     

いそいで ともこは おきあがると はっぱを おっかけます。

てが とどきそうになると くるっと はっぱは にげるように ころげていきます。

「あれっ どこに いったのかな」 

ともこは いつのまにか みたこともない はやしの なかにたって いました。

「だれか うたってる」

はやしの おくのほうから うたが きこえてきます。


あかい はっぱは おかあさん

おひさまみたいに あったかい

くるくる くるるん 

くるくる るん

あかい はっぱは おかあさん


ともこは うたの きこえる ほうに そっとあるいて いきました。

「おんなのこ」

おんなのこが 一 二 三 四 五にん おちばの やまを かこんで うたって いました。

「あかい はっぱ」

おちばの やまのくうえに ともこが おつかけてた あかい はっぱが のっていました。

「その はっぱ わたしのよ」

ともこは おんなのこたちの そばまで とびだして いました。

「えっ」

おんなのこたちは ともこを いっせいに みました。

みんな おあい かおを していました。

「あかい はっぱがないと おかあさんの ところへ かえれないの」

おんなのこたちの なかで いちばん ちいさいこが あかい はっぱを つかむと さっと むねに だきました。

ともこは はっぱを だいてるこを みてると むねが こくん こくんと なりはじめました。


「いいわ。その はっぱ あげるわ」

「ありがとう」        

おんなのこたちは こえを そろえて いいました。     

おんなのこたちは たちあがっで うれしそうに うたいだしました。


あかい はっぱは おかあさん

おひさまみたいに あったかい

くるくる くるるん くるくるるん

あかい はっぱは おかあさん


ともこが そらをみあげると まっかな ゆうやけに なっていました。

はっぱが そらから ちってきます。

おんなのこたちの うたうおとと かさなって そらいちめんに ひびいていました。

ともこの そばから おんなのこたちは いなくなって いました。

ともこは くらくなった みちを いえに むかって はしって いました。