おりじなる童話 ゴリラになった ごんた

吉永光治のおりじなる童話

 ゴリラになった ごんた

あるむらに てっぽううちの めいじんが いた。

なまえは ごんた。ねらった えものは いちども にがした ことが ないのが じまんだった。

あるひ ごんたは やまに でかけた。

いつもは やまに はいると すぐ えものを みつけていたのに きょうは えものの かげ ひとつ みえなかった。

「へんだな どこに いるのかな」

ごんたは きのねっこに すわって あせを ふきふき かんがえていた。

ごんたの めのまえを なにか ちゃいろいものが はしった。

「みつけたぞ」

きの しげみの あいだから うさぎが みえた。

ごんたは ねらいを さだめた。

「あっ」

うさぎは ぴょんと はねて にげて しまった。

「なんてこった うさぎに にげられるなんて」

ごんたは てっぽうを かまえて あるきだした。

いつのまにか たにに おりていた。

「あー のどか かわいた」

ごんたが たにがわで みずを のんでいると こいしがぱらぱら うえのほうからおちてきた。

ごんたが みあげると しかがいた。

「こんどこそ にがすもんか」

ごんたは ねらいを さだめた。

しかは あっと いうまに きえた。

「しかにも にげられるなんて」

ごんたは はらが たって しかたが なかった。

「こんどこそ つかまえるぞ」

ごんたの めは あかく もえていた。

えものを さがして しげみの なかをどんどこ あるいて いった。

せなかを まるめて ぢめんを はうように あるいて いった。

ごんたは くさはらに でた。

いつのまにか つきが でていた。

たぬきが あるいていた。

「こんどこそ うちころしてやるぞ」

ねらいを つけて うとうとした。

すると とつぜん

「ズドーン」

ごんたの みみを てっぽうだまが かすっていた。

「うあっ」

ごんたは ひっくりかえった。

「だれだ おれを うつなんて どこの どいつだ」

くらがりの なかを そっと めを あけた。

てっぽうを つかんでいる てを みて ごんたは こえが でなかった。

ごんたの ては ふかいけに おおわれていた。

「おーい ゴリラを みつけたぞ」

とおくから あしおとが ちかずいて くるのが ごんたには ぼんやり きこえた。