おりじなる童話  アイスクリーム

吉永光治のおりじなる童話

 アイスクリーム

ぶたの トンコと トンキチは のはらで あそんで いました。

「あつい あつい アイスクリームが たべたいわ」

トンコが あせを ふきふきいいました。

「ぼくが かってこよう」

トンキチは はしって おみせに いきました。

イチゴの アイスクリームは トンコ。

チョコレートの アイスクリームは トンキチ。

ふたつ アイスクリームを ふくろに いれてもらって いそいで おみせを でました。

トンキチが みちを あるいていると おもそうな にもつを もった おばあさんが あせを ふきながら あるいて いるのに あいました。

「にもつ もって。あげよう」  

トンキチは おばあさんの にもつを もって あげました。

「どうも ありがとうさん」

おばあさんは なんども あたまを さげました。   

「あっ アイスクリーム トンコがまっているんだっけ」 

トンキチは あわてて のはらに もどりました。     

「なにしてたの」

トンコは ぷんぷん おこっていました。

「おそくなって ごめん。はい アイスクリーム」    

トンキチは ふくろの なかを のぞきました。  

「あっ とけちゃってる」

アイスクリームは とけて どろどろに なって いました。

「たべれないわ」

トンコは くるっと うしろを むきました。

「ごめん いそいで かってくるからね」

トンキチは はしって おみせに いきました。    

アイスクリームを かうと いそいでおみせを でました。         

「いそいで まっすぐ いそいで まっすぐ」

トンキチは くちの なかで いいながら あるいて いきました。

「あれ」

みちの まんなかで おんなのこが ないていました。

「どうしたの」  

「おうちが わからなく なっちゃった」

「おうち どっち」 

「おうち あっち」

トンキチは アイスクリームを もったまま あっちにいったり こっちにいったり。

でも やっと いえを みつけました。

「あー やっとみつかってよかった。あ・・・・・・つ トンコが アイスクリーム まってたんだっけ」  

トンキチは おおあわてで はしってたら

「うあっ」    

いしに つまずいて でんぐり ころんで しまいました。

アイスクリトムは ふくろから とびだして どろだらけ。  

「あー どうしよう トンコ まってるのに」

トンキチは うあんうあん なきながら はらっぱヘ。

「どうしたの アイスクリームは」

トンコは びっくり。

「アイスクリーム こんなに なっちゃった」

トンキチは どろだらけの アイスクリームを みせました。 

「いいわ こんどは いっしょに アイスクリームを かいに いきましょう」

トンキチと トンコは おみせに はしって いきました。