おりじなる童話 おならがわらった

吉永光治のおりじなる童話

おならがわらった

「ブブーッ」

ぼくが へやで けんちゃんと かずちゃんと ほんを よんで いたら おならが なった。

「ぼくじゃないよ」

けんちゃんが すぐ いった。

「ぼくと ちがうよ」

かずちゃんが ぼくのかおを みながら いった。

「ぼく おなら ださないよ」

けんちゃんと かずちゃんの かおを かわるがわる みながら ぼくはいった。

「くさい くさい」

けんちゃんが はなを つまんで たちあがった。

「ぼく かえるよ」

かずちゃんは よみかけの ほんを おいて さよならも いわないで かえって いった。

へやに ぼくだけが のこった。

「どうして おなら ださないって いうんだい」

「えっ だれっ」

ぼくは どきっとして ふりむいた。

おとこのこが たっていた。

「きみ だーれ」

ぼくは おおきな こえで どなった。

「ぼく きみの おならだよ」

「うそ」

「ほんとうだよ」

「ぼく おならしないもん」 

「したじゃないか」  

「あっちに いってよ くさいから」 

「ぼく きみが したって いわないと どこへも いかないからね」

おとこのこは おこって ブスーンと おとを だして きえた。

そのひから ぼくの おならが でなくなった。   

つぎのひ。

「おいも たべない」

おかあさんが おいもを ふかして くれた。

でも おなかが ふくれたみたいで たべられなかった。 

ぼくが へやで ほんを よんでいたら ぷうーんと おならの においが してきた。

ふりかえったら おとこのこが たっていた。

「またきた くさいから どこかに いってよ」

「ぼくの おならだって いわないと ぼく…」

おとこのこは しょぼんと うつむいた。

「いいよ ぼく おならしたよ」

ぼくが いったら おとこのこは きえた。

「あそぼう」

けんちゃんと かずちゃんが あそびにきた。

へやで ほんを よんでいたら

「ブウーッ」    

おならが なった。   

「ごめん ぼく おならしちゃた」

ぼくは おおきな こえで いった。

けんちゃんが わらった。

かずちゃんも わらった。

ぼくも わらっちゃった。

おならも わらった。