おりじなる童話  かげぼうし

吉永光治のおりじなる童話

 かげぼうし

そらに おひさまが ぎらぎら ひかっていました。

にわに みかんが たくさん なって います。

こどもたちが みかんを みあげて いいました。 

「おおきいな」

「たべたいな」

「いいにおい」

うれしそうな こどもたち

うれしそうな みかんたち

でも みかんの かげぼうし こどもたちに ふまれて かわいそう。



「もういいかい」

「まーだだよー」

けんちゃんが かくれんぼしてる

かくれても かくれても

すぐ みつかる

かげぼうし あっちにいけ

「もういいかい」

「まーだだよー」

けんちゃんが かえったあとで

かくれてる かくれてる

「もう いいかい」

かげぼうしの かくれんぼ



そらに ほしが きらきら ひかって いました。

おかの うえに ふたつ かげぼうしが ありました。

「ああ きれいな おほしさま」

かげぼうしが いいました。

ほしが ひとつ ながれました。

「しーつ だまってないと ほしが ながれるよ」

かげぼうしが、いいました。

ほしが また ひとつ ながれました。

かげは それからは もう いつまでも いつまでも だまったままでした。