三宝聖典

三宝法典 第二部 第八一項 十戒の法

十戒の法 時にシャカムニ世尊、初めてボダイ樹のもとに坐して、無上の覚りを成しとげ、 初めにボサツの戒を定め、父母、師僧、三宝に孝養し従わしめたまえり。孝養従順なす法は至高の道なり。 世尊、もろもろのボサツに告げたまえり。 「われ今、半月ごとに…

三宝法典 第二部 第八〇項 仏舎利の分配

仏舎利の分配 かくて世尊、入滅したまえるに、欲よりはなれざるビクらのある者は、悲しみて泣けり。 「あまりにも早く世尊は、入滅なしたまえり。あまりにも早く善逝は、入滅なしたまえり。あまりにも早く世間の眼は、姿をかくしたまえり。」と。 また欲をは…

三宝法典 第二部 第七九項 偉大なる入滅

偉大なる入滅 時に世尊、尊者アーナンダに仰せられたり。 「アーナンダよ、あるいはおんみらにかかる念あるべし。『教主の言葉は終われり。われらの教主なし』と。アーナンダよ、かくみるべからず。わが説き示し、定めたる法と規律とは、これわが亡きのちの…

三宝法典 第二部 第七八項 最後のみ教え

最後のみ教え 時に夜は次第にふけて、林の中は静けさそのものとなり、世尊はもろもろのビク らのために、略して法の要を説きたまえり。 「ビクらよ、わが入滅を見て、正法はここに永久に絶えたりと思うことなかれ。われかつておんみらのために規律を制定し、…

三宝法典 第二部 第七七項 最後の直弟子

最後の直弟子 時にスバッダと名づくる修行者、クシナーラーに住せり。世尊が入滅なしたもうを聞きて思えり。 「われかつて、年老いたる師の語るを聞けり『アラハン・正等覚者たる如来の世に出現なすは極めてまれなり』と。しかるにシャモン・ゴータマは今夜…

三宝法典 第二部 第七六項 入滅の地と四所

入滅の地と四所 かくて世尊はアーナンダに告げたまえり。 「アーナンダよ、これよりヒランニャバテイー河の向う岸なるクシナーラー、マッラー族のウパバッタナのサーラ林におもむかん。」「かしこまりたり世尊。」 世尊、ビク衆と共にクシナーラーのウパバッ…

三宝聖典 第二部 第七五項 チュンダの供養

チュンダの供養 かくて世尊、ボーガ城に留まりたもう時、アーナンダおよびビク衆を伴いてパー バー城におもむきたまい、鍛工の子なるチュンダのマンゴー林に留まりたまえり。(これまさに二月十四日なり) これを聞きたるチュンダは、世尊のみもとにまいり、…

三宝法典 第二部 第七四項 四大教法

四大教法 かくて世尊、バンダ村より、ハッティ村、アンバ村、ジャンブ村をへてボーガ城のアーナンダ廟に留まり、ビクらに四大教法を説きたまえり。 「ビクにしてかくのごとく言える者ありとす。『友よ、われはかくのごとく世尊より面前にて聞き受けたり。こ…

三宝法典 第二部 第七三項 リチャービー人への教え

リチャービー人への教え 時に世尊、ベーサーリーを去りたもうに、身をめぐらし城をかえりみてほほえみたまえり。 「アーナンダよ、これこの城の見おさめにして、再びこの城に入ることなからん。」 ビクらこれを聞きて悲しみ歎けり。この噂はリチャービー人の…

三宝法典 第二部 第七二項 入滅の予言

入滅の予言 時に世尊、ベーサーリーに托鉢なし、食事を終えてチャーパーラのやしろに向かいたまえり。 「アーナンダよ、われ(背の痛みを覚ゆれば)チャーパーラにて日中の休息をなさん。」と。 世尊、座につかれ一方に坐せるアーナンダに仰せられたり。 「…

三宝法典 第二部 第七一項 二大弟子の入滅

二大弟子の入滅 時にサーリプッタは静思より出でて思えり。 「過去の諸仏におのおの上座の弟子あり。かれらその師に先だちて入滅するをつねとせり。われもこの七日のうちに、世尊に先だちてゆかん。されどわが母いまだ仏法に帰依なさざれば、これより行きて…

三宝法典 第二部 第七〇項 解脱を得たる者

解脱を得たる者 時に世尊、ラージャガハのガランダ竹園にましませり。トクシタバラモン来たりて問いたてまつれり。 「ゴータマよ、教団のビクにして一人にても、真にニバーナを得たるものありや。」 「バラモンよ、ただ一人、二人ないし五百人のみならず。あ…

三宝法典 第二部 第六九項 師の秘伝

師の秘伝 アンバパーリーの施食を受けられし世尊は、さらにアンバパーリー林を受けられ、しばらく留まりて、種々の法を説きたまえり。 み心のまま、アンバパーリー林に留まりたまいし世尊は、アーナンダとビクらを伴いてベールバの村に向かいたまえり。 時に…

三宝法典 第二部 第六八項 法の鏡

法の鏡 世尊はコーティ村にいたり、林に入りてビクらに法を説きたまえり。 「ビクらよ、四聖諦を悟らず、通ぜざるがゆえに、かくのごとき長き間、われもおんみらも共に流転し輪廻したるなり。されどビクらよ、この苦集滅道の四聖諦を悟り、これに通じたるが…

三宝法典 第二部 第六七項 ゴータマの渡し

ゴータマの渡し 時に世尊、アーナンダを呼びたまい、 「これよりアンバラテイカー園に行かんごと仰せられ、ビクらをともない、ラージャガハを出でて北なるアンバラティカー園に向かいたまえり。 世尊はアンバラテイカー園の王の家にとどまられ、ビクらに法を…

三宝法典 第二部 第六六項 七つの衰えざる法

七つの衰えざる法 時に世尊、ラージャガハのギッシャクータ山にとどまりたまえり。 マガダの国王、アジャータサットは隣国のワッジー国を攻めんとして雨行大臣に命じたり「雨行よ、おんみは世尊のみもとに参りてねんごろに挨拶なし、わがためにみ教えを請い…

三宝法典 第二部 第六五項 聖なる弟子の数々

聖なる弟子の数々 時に世尊、ビクらを集め、世尊に従いしあまたのビク衆の特長を仰せられたり。 「ビクらよ、わが弟子のビクのうち、最も早く弟子となりたるはアンニヤコンダンニャなり。知恵第一はサーリプッタなり。神通第一はモッガラーナなり。清浄の行…

三宝法典 第二部 第六四項 カピラ城の滅亡

カピラ城の滅亡 ビドーダバ王は兵を進めてカピラ城に迫りたり。カピラ城の住民は弓術に巧みなれば矢を射かけて耳をそぎ、あるいは弓を射るして一人の生命をも取らざりしなり。その巧みさにおそれて王は退かんとせるも「シャカ族の人々は規律を守り虫をも殺さ…

三宝法典 第二部 第六三項 親族の葉かげ

親族の葉かげ 世尊、祇園精舎にましませる時、親族に対する利益ある行いにつきて説きたまえり。サーバッティーのアナータピンディカ (給孤独長者)の家には、つねに五百のビクに対する食物が用意せられたり。またビサーカの家にても、コーサラ王の王宮にて…

三宝法典 第二部 第六二項 パセーナディ王の法塔

パセーナディ王の法塔 時に世尊、鹿子母講堂にとどまり、日中の暑さをすごされたまい、夕暮れ静思より出でられて、水浴ののち、背を乾かさんがために坐したまえり。 アーナンダは手にて御身体をなでて申し上げたり。 「世尊、世尊のかのうるわしき肌の色つや…

三宝法典 第二部 第六一項 反省の日

反省の日 時に世尊、サドバッティの鹿子母講堂にて安居を終え、月の十五日、定めのごとく五百のビク衆と共に反省の集まりをなしたまえり。しばらくの間、大衆を見廻したまえる世尊はやがて仰せられたり。 「ビクらよ、われは覚りを得たるバラモンにして、大…

三宝法典 第二部 第六〇項 王子と法義説

王子と法義説 時に世尊、ラージャガハのカランダカニバーパ竹林園にとどまりたまえり。ビンビサーラ王の子、アバヤ王子がニガンダのナータプッタを訪ねたる時、ニガンダは言えり。 「王子よ、シャモン・ゴータマの論を破るべし。さればおんみの名声は天下に…

三宝法典 第二部 第五九項 世尊の温浴

世尊の温浴 世尊、サーバッティーにとどまりたもう時、風気を病みたまい、つきそい人なる尊者ウパバーナを呼びて仰せられたり。 「ウパバーナよ、おんみ、わがために温湯を持ち来たれ。」と。 尊者ウパバーナは衣をつけ、鉢をとりて、デーバヒータ・バラモン…

三宝法典 第二部 第五八項 アジャセの病い

アジャセの病い ビンビサーラ王は、その夫人がアジャセにとじこめられてより、食をたたれて、わずかに窓よりギッジャクータ山の木々の緑を仰ぎ見て、心の慰めとせり。太子はこれを聞きて、その窓をふさがしめ、足裏をけずり立ち得ざるかごとくなせり。 その…

三宝法典 第二部 第五七項 デーバダッタの最後

デーバダッタの最後 デーバダッタは二大長老が弟子らをつれ去りしことに苦しみ、血を吐きて病いを得たり。その時、かれの心に良心がわき、 「九ヵ月の間、われは如来に対して不利益をはかれり。しかるに、ブッダ世尊は われに対し悪心を持ちたまわず。八十人…

三宝法典 第二部 第五六項 デーバダッタの悪逆

デーバダッタの悪逆 時にデーバダッタはアジャセ王に請うて三十一人の兵士を選び、初め一人をつかわして世尊を殺害せしめ、他の道より帰らしめんとせり。次に二人をつかわしてその一人を殺害せしめ、次に四人をつかわして先の二人を殺害せしめ、かくのごとく…

三宝法典 第二部 第五五項 サンガの分裂

サンガの分裂 時に世尊、ラージャガハに托鉢せられしが、デーバダッタもまたその町に托鉢せり。世尊ははるかにかれを見たまいて立ち去らんとせられたり。アーナンダその理由を問いたてまつれば世尊は、 「デーバダッタを町に見るゆえに、われかれをさけんと…

三宝法典 第二部 第五四項 デーバダッタと供養

デーバダッタと供養 時に世尊、正導の旅をなしたまい、ラージャガハに帰りて城外の竹林精舎にとどまりたまえり。これより先、雨久しく降らず、稲かれて食を乞うに難くなりたり。 すぐれしビクらは所々にて食を得たれど、デーバダッタは思うにまかせず、それ…

三宝法典 第二部 第五三項 在家者の心統一

在家者の心統一 チッタ長者の友、カッサパなる裸形外道、マヨチカー山に来たりたれば、長者はかれを訪い、出家していく年なるやを問えり。 「出家して三十年になるなり」 「尊者よ、この三十年によりて、超人の法を得、すぐれたる聖智を開き、安らぎの心を得…

三宝法典 第二部 第五二項 チッタ長者とイシダッタ

チッタ長者とイシダッタ マッチカー山のチッタ長者はアンバータカの林に住むビクらをしばしば供養せり。ある日長者はビクらを招きて問えり。 「尊者らよ、世間に種々の見解あり。世間は変化せずあるいは変化す。限りありあるいは限りなし。如来は死後存在な…