三宝聖典

三宝法典 第二部 第五一項 王子の三宝帰依

王子の三宝帰依 時に世尊、ビクらを伴いてバッガ国に入りたまえり。バッガ国のボディ王子は、新しき宮殿出来上りたる時なれば、落成式に世尊をお迎えしたてまつれり。 新しき木の香りなせる宮殿の階段に白き布敷きてあり。世尊しばしたたずみたまえば、ボデ…

三宝法典 第二部 第五〇項 心の向上要領

心の向上要領 時に世尊、祇園精舎にてビクらに法を説きたまえり。 「ビクらよ、心の向上を修むるビクは、つねに五つのことを念ずべし。ある相、姿を思いて心にむさぼりと怒り、愚痴が生じたる時は、ただちにその相、姿より心を転じて、善き思いを伴う他の相…

三宝法典 第二部 第四九項 琴と修行

琴と修行 請いによりてビンビサーラ王ならびにあまたの村長らに説きたもう世尊の、法を聞きて富める家柄より出家せるソーナビクは、その体、壮健ならざるに修行あまりにはげしきため、足より出血せり。 ラージャガハの寒林にてソーナはかくのごとく思えり。 …

三宝法典 第二部 第四八項 白きケシの実

白きケシの実 サーバッティーの貧しき娘、キサーゴータミーはとつぎてさげすまれつつ暮らし、やがて男子を生みたり。されどその一人子、愛らしき盛りに急死せしため心狂い、死せる子のなきがらをいだきて町をさまよい、子の病いを治す医者はなきかとたずね回…

三宝法典 第二部 第四七項 バッカリの捨身

バッカリの捨身 時に世尊、ラージャガハの竹林リス飼育所にとどまりたまえり。ビク・バッカリは陶工の家に住し、重き病に苦しみ、看病のビクを呼びて依頼せり。 「われに代りて世尊を礼拝したまえ。また世尊にあわれみをもって、われを見舞いたまえと告げら…

三宝聖典 第二部 第四六項 病いと覚りの枝

病いと覚りの枝 時に世尊、ラージャガハの竹林園にとどまりたまえり。その時、尊者マハーカッサパはピッパラ窟に住し、重き病いにかかれり。夕暮れに静思より起ちたまえる世尊は、かれのもとに参りて見舞いたまえり。 「カッサパよ、忍び得るや、いなや。薬…

三宝法典 第二部 第四五項 理解・信仰・修行

理解・信仰・修行 世尊、祇園精舎にとどまりたもう時、サビッタとマハーコッティタはサーリプッタのもとに参りて法を語り、サーリプッタは言えり。 「世間に三種の人あり。自身に体験なす修行の人(身証)、知恵にて達する理解の人(見至)、信仰によりて解…

三宝法典 第二部 第四四項 たがやしバラモン

たがやしバラモン 時に世尊、マガダ国の南山、一バラモン村にとどまりたまえり。たがやしバラモンは種まきの時なれば、多くの傭人にその用意をなさしめ、食物を分配しつつあり。 時に世尊は早朝、乞食のためにその門前に立ちたまい、これを見てたがやしバラ…

三宝法典 第二部 第四三項 アーナンダの説法

アーナンダの説法 時に世尊、カピラ城外、ニグローダ林にとどまりたまえり。カピラ城の人々、新しき会堂を建てれば、その祝いに世尊を招待せり。 世尊はこの請いを受けられ、衣と鉢を持ちて、ビク衆と会堂に参り足を洗いて堂に登り、中央の柱に近く東に面し…

三宝法典 第二部 第四二項 プンナの決意

プンナの決意 世尊、サーバッティーの祇園精舎にとどまりたもう時、プンナは夕べのサマーディより立ち出で、世尊のみもとに参り礼拝なして申し上げたり。 「世尊、略して法を説きたまえ。そのみ教えを頂きてわれひとり住み、熱心にはげまんと思えり。」 「プ…

三宝法典 第二部 第四一項 七人の妻

七人の妻 時に世尊、アナータピンディカ長者を訪れたもうに、家の中さわがしく、荒あらしき声、聞こえきたれり。世尊、座につきて長者にそのわけを問いたまえば、長者は答えて申し上げたり。 「長男の嫁、スジャーターはその生家の富と権勢を誇り、父母を敬…

三宝法典 第二部 第四〇項 正導せられたるビク衆

正導せられたるビク衆 時に世尊、チャンパー城のガッガラー蓮池のほとりに、あまたのビク衆と共にとどまりたまえり。 象の御者ペッサと修行者カンダラカは、世尊のみもとに参り、カンダラカはビク衆を見廻して申し上げたり。 「尊者ゴータマよ、まことにこは…

三宝法典 第二部 第三九項 矢の譬え

矢の譬え 時に世尊、サーバッティーの祇園精舎にとどまりたまえり。弟子のマールンキャプッタビクは静かなる所にて思えり。世界は永久なるや否や、世界は有限なるや否や、霊魂は肉体と同一なるや否や、如来は死後存在なすや否や。かかる問題を世尊はしりぞけ…

三宝法典 第二部 第三八項 世の初め

世の初め 時にサーバッテイーの東園鹿子母講堂において、ワーセッタとバラドバージャはビクにならんがため、四ヵ月の別住をなせり。 ある日世尊、夕ぐれに静思より立ち出でて堂をおり、空き地を念じ歩みなしたまえり。ワーセッタこれを見たてまつり、バラド…

三宝法典 第二部 第三七項 アングリマーラ

アングリマーラ ブッダ世尊、サーバッティーの祇園精舎にとどまりたもう時、コーサラ国にアングリマーラと名づくる凶賊ありて、村々をあらし、人々を殺しては指を切りとり首飾りとなしたり。 時に世尊、早朝に衣をつけ、鉢を持ちて托鉢にゆかれ、食を終わり…

三宝法典 第二部 第三六項 ミガーラの母

ミガーラの母 アンガ国バッディヤと言える町のメンダカ長者の孫娘ビサーカーは、世尊が正導の旅をなしたまえるおりに、法を聞きて仏縁を結べり。 ゆえありて父のダナンジャナと共どもコーサラ国のサーケータに移り住み、サーバッティーのミガーラ長者の子プ…

三宝法典 第二部 第三五項 出家の動機

出家の動機 詩を唱え終わりしラッタパーラはただちに父母の家を去り、王の園におもむき木のもとに坐せり。時に国王、コーラブヤ王は、城を出でて林に遊び、家臣の知らせによりラッタパーラに近づき、挨拶をかわして互いに坐して問答せり。 「尊者ラッタパー…

三宝法典 第二部 第三四項 一人子 ラッタパーラ

一人子ラッタパーラ 時に世尊、クル国に道を伝え、トーラコッティタ村にとどまりたまえり。人々は世尊のみ名をしたいて四方より集まり、法を聞きて歓喜せり。 長者の子ラッタパーラは人々の中にありて法を聞き、人々の立ち去りたるのちに、世尊を礼拝したて…

三宝法典 第二部 第三三項 嫁と姑

嫁と姑 サーバッティーに信仰厚き青年あり、父親死して老い先みじかき母親に、妻も迎えず孝養をつくせり。母親は一人のよき娘を見出して嫁となし、一家和合し、青年は時おり精舎に参り、世尊のみ教えを喜べり。 嫁は時に心変わりなし、姑を憎み、別居なさし…

三宝法典 第二部 第三二項 ラーフラと念息

ラーフラと念息 時に世尊、衣をつけ鉢を取りでサーバッティー城に托鉢したまい、尊者ラーフラはそのみ後ろに従えり。世尊かえりみたもうて仰せられたり。 「ラーフラよ、すべてのもの及びものごとに対し、わがものにあらず、われにあらず、またわが本体にも…

三宝法典 第二部 第三一項 流木の譬え

流木の譬え 時に世尊、コーサンビーの郊外に出でてガンジス河の岸辺に立たれ、材木の流れきたるを見たまいて仰せられたり。 「ビクらよ、かの流木を見るや。かの流木が両岸に近づかず、中流にて沈まず、陸へも打上げられず、人にも取られず、非人にも取られ…

三宝法典 第二部 第三〇項 出家性と反省

出家性と反省 時に世尊、ラージャガハのカランダカニバーパにとどまりたまえり。ある夕べ、世尊はサマーディより立たれて、アンバ林に尊者ラーフラを訪れたまえり。 はるかに世尊の来たりたもうを見て、尊者ラーフラはその座席と足洗いの水を用意せり。世尊…

三宝法典 第二部 第二九項 ビク尼の答え

ビク尼の答え (時にビサーカと言える在家者、ラージャガハにあり。家栄えてダンマディンナーを妻としてむつまじき家庭を営み、世尊の教化にて在家のまま、ふたたびこの世に還えらざる証しを得たり。ダンマディンナーは夫の導きにより、世尊の教化をさらに受…

三宝法典 第二部 第二八項 神との似通い

神との似通い 時に世尊、マナサーカタの村にいたり、アチラバティー川のほとりなる林にとどまりたまえり。時に異なれる師を有する二人のバラモンの弟子、討論して決し得ず、世尊のみもとにまいれり。 「バーシッタよ、三明のバラモンのうちに、一人なりとも…

三宝法典 第二部 第二七項 慈愛の叱り

慈愛の叱り 時に世尊、サーバッティーの祇園精舎にとどまりたまえり。尊者ヤソージャを長となす五百のビクら、世尊を礼拝せんとして来たり、精舎のビクらと挨拶し、もの音高くたててふるまえり。 世尊はアーナンダに命じて、かれらを呼びたまい、 「おんみら…

三宝法典 第二部 第二六項 業と罰

業と罰 時に世尊、ラージャガハをはなれてナーランダーにおもむき、パーバーリカのアンバ林に入りたまえり。ナータプッタは多くの弟子をともないてこの地にとどまり、その弟子の長苦行は村に托鉢してのち、林に世尊を訪うてかたわらに坐せり。 「長苦行よ、…

三宝法典 第二部 第二五項 三宝経

三宝経 「ここにつどえる鬼神ら、地上のもの、空中のもの、一切の鬼神ら、歓喜すべし。 わが説くところ熱心に聞け。わが教えを聞きに来たれるゆえに、よくこのわれに耳かたむけよ。夜にも昼にも、供養をささぐる人々に、慈悲の心を向けるべし。心してかれら…

三宝法典 第二部 第二四項 在家の信と知恵

在家の信と知恵 時にアナータピンディカ長者は世尊のみもとに参り、礼拝なして一方に坐せり。世尊はかれに法を説きたまえり。 「在家者よ、聖なる弟子にして、五つの恐れをやめ、四つの浄信を成就し、知恵をもって聖なる真理をよく観じ、それに通達せば、も…

三宝法典 第二部 第二三項 妻の導き

妻の導き サーバッティーに、サーリプッタ、モッガラーナ二大弟子の信者あり。その娘、信心あつく純真にして清らかなる心を持ち、三宝に帰依し、賢く善く行い、布施その他の善行を楽しみとせり。向じくサーバッティーに素性同じからざる異教の信者あり。この…

三宝法典 第二部 第ニニ項 信女カーリゴーダー

信女カーリゴーダー ブッダ世尊、時にシャカ国、カピラ城外のニグローダ林にとどまりたまえり。ある朝、世尊は下衣をつけ、鉢と衣とを持ちて信女カーリゴーダーの宅にゆかれ、用意の座につきたまえり。 信女カーリゴーダーは、世尊のみもとにまいり、礼拝し…