三宝法典 第二部 第七〇項 解脱を得たる者

 解脱を得たる者

時に世尊、ラージャガハのガランダ竹園にましませり。トクシタバラモン来たりて問いたてまつれり。

「ゴータマよ、教団のビクにして一人にても、真にニバーナを得たるものありや。」
 
バラモンよ、ただ一人、二人ないし五百人のみならず。あまたのビクがニバーナを得たるなり。」「しからばビク尼につきてはいかに。」「バラモンよ、ただ一人、二人ないし五百人のみならず、あまたのビク尼がニバーナを得たるなり。」

「ゴータマよ、しからば清き行をなすウパーサカのうち、一人にても信に入れる者ありや。」

バラモンよ、同じくあまたのウパーサカが信を得、さらに五つの煩悩を断ちて、この世にかえりくることなき不還の果を得たるなり。」

「しからば清き行をなすウパーシカーにつきてはいかに。」

「同じくあまたのウパーシカーが信を得、さらに五つの煩悩を断ちて、この世にかえりくる不還の果を得たるなり。」

「しからば種々の欲をなすウパーサカ・ウパーシカーのうち、一人にても信を得たるものありや。」

「同じくあまたの未だ欲あるウパーサカも信を得、さらに怒り愚痴の心うすらぎて、この世にひとたびかえりくる一来の果を得、あまたのウパーシカーが信を得て、信仰の流れに入る予流果を得たるなり。」

このバラモンはかくのごとく聞きて、仏弟子の得道の事実と、その意味とを明らかに知りて申し上げたり。

「ゴータマよ、おんみが成道なさるも、ビク・ビク尼及び信男信女がかかる功徳を得ざれば、その教えは満足なるにあらず。しかるにおんみすでに成道なしたまい、弟子信者それぞれ功徳を受けつつあれば、この教えは満足なるなり。たとえば雨水がそれぞれ下へと流れゆくがごとく、弟子信者も男も女もことごとく流れ流れてニバ-ナに向かい、ニバーナに至るならん。ここに妙なる平等の法を知り得たるなり。」と。

アゴン三四ニバーナ果
(アラハン果)
不還果
一来果
予流果