三宝法典 第二部 第七一項 二大弟子の入滅

二大弟子の入滅

時にサーリプッタは静思より出でて思えり。

「過去の諸仏におのおの上座の弟子あり。かれらその師に先だちて入滅するをつねとせり。われもこの七日のうちに、世尊に先だちてゆかん。されどわが母いまだ仏法に帰依なさざれば、これより行きて母を導かん。」と。

かくて世尊のみもとに参り、入滅を願い、三度び願いて許されたり。世尊の仰せにより、ビクらに神変を示し、法を説き、世尊に最後の厚き礼を述べて、涙ぐむビクらを後にし、シャミのチャンナを伴いて去れり。

ナーランダ村の母の家につきたるサーリプッタは夕方にわかに病いはげしく起こりて血を吐けり。その時に諸天、下りきてかの病いを見舞いたり。この奇瑞を見て母は清き喜びにあふれたり。

サーリプッタは時の至るを知りて母に道を説き、その師をたたえ、母これを喜びたれば、母の恩に報い終わりたり。

満月の光り清きタ、サーリプッタは母のもとにゆき、その産室に入りてふせり。夜半、苦しみにおそわれたれど、暁に近きころ右脇にふして静かに人滅せり。

母の歎きのうちに夜は明け、七日の間、人々に厚く供養をされて火葬せられ、チヤンナは遺骨を集め、衣鉢と共に世尊のみもとに持ち帰れり。

アーナンダより遺骨を受けられし世尊は、ビクらを集めて仰せられたり。

「これは数日前まで、もろもろの神変を行いし者の遺骨なり。かれは久しく徳を修めて己を完成せり。かれは諸仏のごとく法を説けり。あまたの人々、かれにしたがいて教えを聞けり。かれの知恵は大きく、喜びを含み、その心は機敏にしてすき透りたり。無意味なる討論を好まず。道を広むるに大地のごとき厚き志をもてり。ビクらよ、よくこの賢き法の子のかたみを見よ。」と。

かくて世尊は、サーリブックのために一つの塔をベーサーリーの門近くに建てたまえり。

この事ありてしばらくの後、ラージャガハの裸形外道の一群はかねて世尊をねたみ、『世尊とそのサンガの世に敬わるるはモッガラーナの徳高きゆえなり』と、イシギリ山のほら穴に住むモッガラーナを二度おそいたれど、かれは二度ともまぬがるることを得たり。されどある日、城に入りて食を受けんとなす時、裸形外道らおそい来たりてかれをとらえ、瓦、石をもってかれを打ち、道端の草の中に投げ込めり。モッガラーナは骨くだけ、肉ただれて痛みはなはだしく、ついに人滅せり。これを聞けるアジャセ王は直ちに裸形外道らをとらえて刑に処したり。

悲しむビクらに世尊は、その死の因縁を説きたまえり。

「前の世、かれは妻にそそのかされてその老いて盲らとなりたる父母を森に誘い出し、殺して草むらに投げこみ、その報いにて久しく地獄にて苦しみ、最後にこの死を受けたるなり。

ビクらよ、サーリプッタモッガラーナ、この世にありし時、かれら二人のめぐりし所、みな幸いを受けたり。その二人がよく外道を調伏なす力ありたればなり。しかるに今、おんみらのうちに二人は居らず。この教団はまことに大いなる損失をなせり。」と。

かくて世尊はモッガラーナのために一つの塔を建てしめたまえり。

釈尊入滅より一年位前

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