三宝法典 第二部 第七二項 入滅の予言

入滅の予言

時に世尊、ベーサーリーに托鉢なし、食事を終えてチャーパーラのやしろに向かいたまえり。

「アーナンダよ、われ(背の痛みを覚ゆれば)チャーパーラにて日中の休息をなさん。」と。

世尊、座につかれ一方に坐せるアーナンダに仰せられたり。

「アーナンダよ、ベーサーリーは楽し。ウデーナ廟は楽し。ゴータマ廟は楽し。サッタンバ廟は楽し。バップッタ廟は楽し。サーランダダ廟は楽し。チャーパーラ廟は楽し。」

アーナンダを去らしめたもう時、悪魔来たりて言えり。

「世尊、今や入滅なしたまえ。世尊の弟子信者はすでに法を了解し、調伏せられ、正しく行じ、師の教えを受けてこれを他に説き示し、他を調伏なすなり。

世尊の教えと行は栄え、よく説かれ、広く知られ、人々のものとなりたり。

世尊、今や入滅なしたもう時なり。」と。

「悪魔よ、心安らかなれ。如来の入滅は遠からずあるべし。これより三月の後、如来は入滅なすべし。」

かくて世尊は、チャーパーラのやしろにて自覚ありつつ、寿命の因を捨てたまえり。この時、天地にとどろきありて、世尊はみずから仰せられたり。

「生には平等あり、不平等あり。ムニは生存に導く因を捨てたり。内心の喜びあり、安らぎありて、鎧を破るがごとくおのが生存を破りたり。」と。

時に世尊、アーナンダを伴いて、大林の重閣講堂に近づきたまい、ベーサーリー附近に住するすべてのビクらを講堂に集めしめたまえり。座につかれし世尊は、ビクらに仰せられたり。

「ビクらよ、われは法を悟りておんみらに示したり。おんみらはよくこれを理解し、修習し、広むるべし。こは清き行を長からしめんがためにして、また衆生の利益と幸福のためなり。世間を慈愛なすがためにして、人天の利益と幸福のためなり。その法とは四念所・五根・五力・七菩提分・八聖道のごとき法なり。」

「今われ、おんみらに告ぐ。すべてのものはこわれゆくものなり。怠ることなく目的を全うせよ。久しからずして如来は入滅なすべし。これより三月の後、如来は入滅なすべし。」

「われはすでに老いたり。おんみらを捨ててわれは行かん。われによりて帰依の道はなされたり。ビクらよ、怠ることなく正念を保ち、よく規律を保つべし。

よく静思に入り正しく思考し、おのが心を守るべし。この法と律とを守りて怠らざる者は、生の輪廻を捨てて、苦を終わらしむべし。」

時に世尊、早朝衣鉢をたずさえてベーサーリーに托鉢なし、終わりてアーナンダに仰せられたり。

「アーナンダよ、こは如来の最後のベーサーリーのながめなるべし。これよりバンダ村におもむかん。」と。

南伝七巻七〇頁南伝一六巻下一〇六頁相応部大篇第七神足相応第十塔
南伝二三巻一八五頁小部自説経第六品生盲品
四念所・五根・五力・七ボダイ分
八聖道

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