三宝法典 第二部 第五九項 世尊の温浴

世尊の温浴

世尊、サーバッティーにとどまりたもう時、風気を病みたまい、つきそい人なる尊者ウパバーナを呼びて仰せられたり。

「ウパバーナよ、おんみ、わがために温湯を持ち来たれ。」と。

尊者ウパバーナは衣をつけ、鉢をとりて、デーバヒータ・バラモンの家にいたり、黙してかたわらに立てり。これを見てデーバヒータは言えり。

「尊者は黙して立つ。頭をそりて衣をまとう、おんみは何を求むるや、何を乞わんと来たれるや。」

「この世のアラハン、善逝の 聖者 風気を病みたもう
もし温湯あるなれば ムニなる世尊に与うべし
供養なす人に供養され  尊ぶ人に尊ばれ
 敬う人に敬まわる     われ その人にもたらさん」

これを聞きてデーバヒータは、人をして一荷の温湯をになわしめ、一びんの糖蜜を世尊に施せり。尊者は世尊のみもとにまいり、世尊に温湯浴をなさしめたてまつり、温湯に糖蜜をときて世尊にさし上げたり。

かくて世尊の病いは治りたり。時にデーバヒータは世尊のみもとにまいり、ねんごろに挨拶をなしてかたわらに坐したれば、世尊は仰せられたり。

「いずこに布施をなすべきや、いずこになされたる施に大果ありや、いずこに供養してその施の報いは栄ゆるや。過去を知り、神々と悪道を見、生の滅しつくしに達したる聖者に施はなさるべし。そのなされし施こそ大果あり。かくのごとく供養せばその施の報いは栄ゆるなり。」

かく言われてデーバヒータは申し上げたり。

「尊者ゴータマよまことにすぐれしことなり。今日以後、命の終わるまで、ウパーサカとしてわれを受けいれたまえ。」と。

南伝一二巻二九九頁相応部第七バラモン相応第三デーバヒータ

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