三宝法典 第二部 第五一項 王子の三宝帰依

 王子の三宝帰依

時に世尊、ビクらを伴いてバッガ国に入りたまえり。バッガ国のボディ王子は、新しき宮殿出来上りたる時なれば、落成式に世尊をお迎えしたてまつれり。

新しき木の香りなせる宮殿の階段に白き布敷きてあり。世尊しばしたたずみたまえば、ボディ王子は申し上げたり。

「世尊よ、白き布を踏みたまえ。わが永き利益と幸福のために。」

世尊はアーナンダをかえりみたまえば、アーナンダは王子に言えり。

「王子よ、白き布を取り除きたまえ。世尊は末の世の衆生をあわれみ、手本を示さんがために、白き布を踏みたまわざるなり。」

かくて世尊は、宮殿にのぼり、座につきて供養を受けられたり。

「世尊、われは楽によりて楽を得ることかたし、苦しみによりて楽を得と思えり。」

世尊は長々とみずからの出家前、および出家後の求道生活を物語られ、まことに正しき楽は、楽しき道によりて得らるるものなるを説きたまえり。

「世尊、如来を師とし、いく年にて家を出でてシャモンとなりたる目的をはたし得るならん。」

「王子よ、わが問いに思いのままの答えをなすべし。巧みに象を使う王子より、象を使う法を学ばんとなす人あり。その人、信なく多病にしていつわり多く、怠けて愚かなれば、学び得るやいなや。」

「その一つの性質あるも学び得ざるなり。」

「王子よ。もしある人、信あり、無病にしていつわりなく、勤めはげみ、知恵ありとせばいかに。」

「その一つの性質あるも体得なすなり。まして五つをそなえればなおさらなり。」

「王子よしかり。もしビクにしてこの五つの性質ありて如来を師となせば、七年ないし一年、いな一月または一日にして覚りを開くならん。いな朝に聞いて夕に夕に聞いて朝に覚りを開くならん。」

これを聞きて王子は賛歎の声をはなてり。かたわらのサンジカープッタは口をはさめり。

「王子よ賛歎をなすよりも、ブッダとダンマとサンガに帰依なすがよろしからん。」と。
「言うなかれサンジカープッタよ。われは母より聞けり。世尊かつてコーサンビーに来たりてゴーシタ園にとどまりだもう時、われを腹に宿せる母は世尊のみもとにまいりて申し上げたり。『世尊、わが腹の子、男にても女にても三宝に帰依したてまつる。願わくばこの子を生涯帰依なす在家信者として受け入れたまえ。』と。

またかつて世尊、このバッガに来たりたもう時、乳母がわれを伴いて世尊に帰依を申し上げたり。サンジカープッタよ、これわが三度目の帰依なり。

世尊、われは三宝に帰依したてまつる。生涯在家の信者としてわれを受け入れたまえ。」

王子はかくのごとく三宝帰依を申し上げたり。

南伝一一巻上二一二頁中部八五菩提王子経
南伝四巻一九四頁律蔵小品第五小事ガンド
帰依賛歎
帰依伝承と母性
正楽依楽道
「学習五つの性質」信・健・正直・努力・知恵

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