道詩

ひとしずくの思考

『ひとしずくの思考』 田辺聖惠 水の一滴はある大きさになると 自分なりの性質として落ちる その一滴一滴が集まりになる 人間の思考もひとしずくとなり 紙や心に書き付けられて ひとしずくひとしずくがまとまる ささやかな思いや小さな考えを 遠くからの手紙…

最たるもの

『最たるもの』 田辺聖恵 心の糧は意識して求めねばならない 仕事を通して 人間関係を通して 読書対話 静思はその最たるもの 心の刺激を好んで求めねばならない 社会を通して 芸術を通して 大自然への直接はその最たるもの 心の表現をいそしみ求めねばなら…

心の友

『心の友』 田辺聖恵 あなたは いや私は心友を持っているか 何が真実で 何が最も大切な事であるか そうした事を語り合う本当の心の友をだ 人生をつきつめて考えるようになれば かえって人は 孤独になる傾向がある 何も偏狭になるのではないのであるが 奇妙…

真の仏教

『真の仏教』 縁起相関の真理を中心とする真仏教 虚大な仏殿仏像も必要としない真仏教 それはまさに普遍妥当の真実である 真理を発見体得正導される真のブッダ 空小屋にてこと足るとされた真のブッダ それはまさに生き方理想の真実である 真理正法をいかに…

旅の仏教者 釈尊

『旅の仏教者 釈尊』 正導の旅を続けられる仏教者 釈尊 時には空き小屋に 時には野宿をされて 人々に真実の生き方を説いてゆかれた 一つ所に七日以上 留どまってはならない これは出家仏教者サンガの規律であるが 殊更の絆をさける修道の精神と言うべきか …

釈尊を伝える

『釈尊を伝える』 私に何がしかの取り柄があるとすれば 釈尊の思想行動を他に伝えることだ 二千五百年前の一宗教者の生き方をだ 人間としての最高可能な知恵に達し 人間としての最大広深な友愛心に溢れ 人間としての生き方を全うされた釈尊 人それぞれがそれ…

仏教真実

『仏教真実』 釈尊仏教における真実とは何か ただ単にとらわれのない心になる事ではない ただ単にはからい心を捨てる事ではない 人間の中核が霊的であろうとなかろうと 縁によって生じ縁によって滅してゆく存在 この事実と理法を学習体得する事なのだ この…

流れ

『流れ』 日々月々がどんどん流れてゆく 絶えることのない川の流れの様に 人々の苦しみも悩みも知らぬげに 平凡の積み重ねが人生ではあるが こうも薄っぺらの毎日では 野の草花ほどにも輝かない 確かさとか真実とか価値とか 言葉をいくら並べてみても 鳥のよ…

凡小庵

「凡小庵」 わが家も持たず借家という事は 自ずから出家ということになる 仮住いが仏教者の在り方だからか さ細いながらも宗教活動を続ける 文書印刷通信対話をなし得るのは 凡小庵のお与えによるものだからだ 何らかの活動において安らぎを得る それは人間…

人間回復

「人間回復」 これでいいかとの自省がなければ 余程好調さの中にいるに違いない 余程安易さの中にいるに違いない 何億年という命の伝承があって 無数の恩恵を受ける事によって 自分という存在が許されている 今最も必要なのは挫折することだ 根本を考える力…

湧言摘記

「湧言摘記」 夜半 自省道詩 三篇を得る 生かされの証しと言えようか 己の力を越えると言えようか 空中に何があるかは明白でない 心の深層に何があるかも明白でない それなのに一言一文が湧出してくる 天来の声を岩に書いた故事のように 湧言を白紙に書きと…

メッセージ

「メッセージ」 何らかのメッセージを受ける パラボナアンテナの様に心を開いて 空中に向けて回路をつけておけば 星空の時は星からのメッセージ 月空の時は月からのメッセージ 音一つない世界からのメッセージ 時には意味でないメッセージがある まるで無色…

安らぎ

『安らぎ』 安らぎは単なる怠けではない 毎日やらねばならぬことへの エネルギーの確かな蓄えである 一日の流れの中でどのように 安らぎをすえてゆくかによって その生き方も変わるというもの 安らぎの中にしか見い出しえない 本当の自分がそこにあるとした…

自然を見て見られて

『自然を見て見られて』 自然を見て自然から見られて驚き そのことが己を知り己を理解する そのようにつながらねばならない 自然の美しさにふっと感動する そのことが己を忘れ己を離れる その様につながらねばならない 自然の厚みや暖かさを感じとって その…

自然と己

『自然と己』 自然をながめ自然に感動し 次第々々己の心が少しずつ 転廻してゆくことが大切だ あまりにも自然に遠ざかって 文化文明を追い求めていたら 人間の意味を見失ってしまう 自然の厳しさ優しさ それらが 己の中にも組みこまれてる事を しっかりと気…

私への関わり

『私への関わり』 何が私に関わって下さるのか どの様に関わって下さるのか 少しずつ気付かされる有り難さ 私よりもずっと価値あるものが 私よりもずっと確かな存在が 関わりをもって下さる有り難さ 私が今どうであるかに関わらず 私にどうせよという事に関…

消耗品

『消耗品』 いやなことはしないというのも 精神衛生上大切なことだ それで胃腸がやられてもつまらない だが時にはグンとふんばらねばならぬ そしていつの間にかそれが平気になる そうした逞しさも必要なものだ それにしても意味のある人生か そうした吟味を…

真実の存在

『真実の存在』 人間として可能な限りを生きられた 縁起の真理法を実践して生きられた 人間としての理想者シャカムニ世尊 あまたの弟子長老たちは進んで従う 自らも理法を実践して生きんがため かくて真理中心のサンガが形成される 大衆は自ら修道者とはなり…

静思

『静思』 なぜ静思するのか それは深層意識になり 大自然と一様になるためだ そこには孤立も対立もない 一如互恵の活発地 なる世界がなす世界になってくる 永遠の営みを自己化し 己のエネルギーに繰りこんでゆく それが静思というものだ https://philosophy.…

『凡』 なぜ私は凡なのか 新しい世界を開くほどの天才でもないし 私をせんさくしないほどの非凡でもない 凡とは歴史の主体である ぞろぞろとひきづられてゆく しかも天才をおどらせながら 私が凡であることは事実である この凡性をはっきり自覚して生きる そ…

表面

『表面』 表面がない山がないように 表面がない海もないように 表面のない人間の生き方はない 人間を深く理解する必要があるのは 表面の接し方関わりあいを より価値あるものにしたいからだ 表面とは単なる形式しきたりではない その深みからくる真実の対応…

野生

『野生』 スズメより一周りほど大きい小鳥が まいた麦を毎朝たべにくるが その一粒をパッと勢いよくついばむ まるで全身全霊 刀を打ちこむような鋭さ 身体がのめるような突っこみ方だ 野生の生き方が一日一日 真剣なものであることを教えられる 怠けは死につ…

役立ち

『役立ち』 庭の小さな柿の木の その柿の実を数えたら九十数個 それがみんなヘタだけ枝に残っている まあ三分の一が落ちたにしても あとはみんな鳥がたべたとしたら これはずい分お役に立った事になる 小は小なりに 大は大なりに お互いが役に立つ 恵み合う …

片隅で

『片隅で』 キジバトが枯草を一本一本 くわえては飛び立つからには 近くの木に巣作りの働きだろう このほったらかしで枯草の裏庭は 一羽のモズ数羽のツグミのえさ場だ 少しづつまく麦をシメがついばみにくる ほんのわずかだがお役に立ってるのは まるでこの…

取り柄

『取り柄』 自分のポイントは何だろうか 自分の取り柄は何だろうか 人と比べるという事ではなしに 涙もろいならそれも大いに結構 やり始めたら途中で止めたくない 人とうまくやるのを第一にする 大いに結構、一つでも二つでも 自分の取り柄をシッカリ固めて…

必須生き方学

『必須生き方学』 道徳政治において儒教は素晴らしい 個の確立において哲学は素晴らしい 絶対追求において基教は素晴らしい 物の活用において科学は素晴らしい 美の芳醇において芸術は素晴らしい 真の平安において仏教は素晴らしい 企業生活において経済は素…

定点観測

『定点観測』 先ずは己の内容を決めねばならない 己は一体何をする人ぞと案じる前に 己はいかなる人間かと認定する事だ 地動説であろうが天動説であろうが 人は人動説とでも言える中にあって なかなか足が地には着かないものだ 己に定点ありやと先ずは己を観…

マイナスプラス縁

『マイナスプラス縁』 人は様々な外なる縁内なる縁によって 流動変化して止まない所の存在である この第一前提をはっきり把握する事だ マイナス縁は苦悩焦躁の原因であって 理想意識と対比する事で解決してゆく このマイナスはプラスへの過程となる プラス縁…

立腰の間

『立腰の間』 腰骨を立てて時に静思をする 他から支配されず己に振り回されず 己自身に可能な限りなり切ってみたい 腰骨を立てて時に黙然となる 過去にこだわらず未来に焦らず 己自身の人生目的をみつめてみたい 腰骨を立てて時に愛他となる 世流にまどわず…

愛和時代

『愛和時代』 和魂 そこに日本古来の理想がある 山も川も神々も人々も和してゆく むつみ合い愛和してこそ真の世界だ ことさらに束縛することのない自由 ことさらに差別することのない平等 そのめざす所は一切が愛和する世界だ 民族性に固執する時代ではなく…