経集 86

86 疑惑を度り、煩悩の箭を離れ、涅槃を楽しみ、隨貪あることなく、天を含めたる世間の導師、斯る人を諸仏は道による勝者と言ふ。南伝大蔵経 第二十四巻小部経典二一 蛇 品 五 淳陀経 三三頁)
疑いを離れ、苦しみを去り、涅槃を楽しみ、貪りを超えて、神々をも含む世間を導く人、そのような人を自覚者達は「道の勝利者」といはれる。(毎田周一訳 釈尊にまのあたり 一周会刊)
疑いをこえ苦をはなれ、ニバーナを楽しみ、欲を除き、人天世界の導師たるかかる人を、道によりて邪悪に勝てるものを、勝道者と諸仏は呼び給うなり。(田辺聖恵訳)
四種のシャモン(仏教における出家求道者)の中、その第一が勝道者。自己の煩悩と斗って勝った者。身は清浄にして心は安楽、いずこに生れ変ることも欲せず、一切あるがままの肯定に生き、そのようにあるべしと人と天上なる神々を導いて止まぬ者。それは諸仏に近いが、善知識、正導師礼讃に価いする。田辺聖恵