経集 145

145 また諸識者に非難せらるゝが如き、いかなる雑穢行をも行はざれ。但だ斯る慈を修せよ。『一切有情は幸福なれ、安穏なれ、福祉あれ、南伝大蔵経 第二十四巻 小部経典二 一 蛇品 八 慈経 五十二頁)
賢い人が詰まらないことゝ無視するやうな、そんな些細なことには無論とりつかず、たゞひとへに願ふ処は、すべての生きものが、喜びと安らぎと楽しさの中にあることである。(毎田周一訳 釈尊にまのあたり 一周会刊)
智あるも、他をことさらにとがむるが如き下劣をなすなかれ。一切の衆生は安らかなれ、楽しみてあれ。(田辺聖恵訳)
生まじつかの知恵は他を非難攻撃の為に使われる。そうした下劣な自己を批判反省することにこそ知恵は使われねばならない。一切衆生の平安を祈る‐ここに平等互恵、自己を滅して他の中に生きる真の知恵、解脱の実際道がある。他を批判して己を浮上させてみた所で、まもなく沈没することは間違いない。(田辺聖恵)