経集 144

144 足ることを知り且つ養ひ易く、難行なくして且つ簡素に暮し、諸根寂静にして且つ聡明なり、傲慢ならず、檀越の家に随貪せず。南伝大蔵経 第二十四巻 小部経典二 一 蛇品 八 慈経 五十二頁)
充ち足りた思いで、与へられるまゝに暮らし、何をせねばといふことがなく、すべてが簡素で静かに物事をありのまゝに見て、心明るく、出すぎたことをせず、家々を訪れても貪ることがない。(毎田周一訳 釈尊にまのあたり 一周会刊)
足るを知り、養い易く、事少なく、生活もまた質素に、五官は静まりて智あり、自負心なく、家々にゆききなすも貪欲の念あるなかれ。(田辺聖恵訳)
宗教者の生活は質素にしない限り必らず目已を破る。読経料として労働報酬を受けとると考えるようになっては仏教でなくなる。sいかなる名僧も金ピカ衣を脱ぎ捨てない限り、自他共に救われない。衣のカゲにかくされた自負、権威主義こそ無智の極。尊敬されるを捨てることがいわば最後の捨てであり質素。(田辺聖恵)