おりじなる童話 いつもともだち

吉永光治のおりじなる童話

 いつもともだち

さると たぬきは いつも なかよしです。 

きようは やまのぼり えっちらおっちら やまを のぼって いました。

「おやっ、おいしそうな バナナが おちて いるぞ」 

たぬきが バナナを ひろいました。

バナナを たべようとすると さるが いいました。                 

「ひろった バナナを たべると おなかを こわすかも しれないよ。ぼくが たべてみて あげよう」

さるは バナナの、かわを むくと パクパク みんな たべて しまいました。

「おなか いたくないかい」  

たぬきが しんぱいそうに さるに ききました。         

さるは たぬきの かおを みて いいました。

「なんだか おなかが しくしく いたく なってきたぞ」

さるは そういいながら たぬきには。バナナの かわだけを やりました。

「あいたたた。もう がまんが できないや。たぬきくん おなかが いたくて あるけ ないよ」

「そんなに いたいなら ぼくが おぶって いって あげよう」

たぬきは さるを おぶって でこぼこみちを のぼって いきました。

やがて やまの ちょうじょうが みえてきました。

「たぬきくんおもかったろう。ぼく もう あるけるよ」

たぬきが さるをおろしたとたん さるは きゅうに かけだしました。

「わあーい ちょうじょうだ」

やまの ちょうじょうは こいしが ごろごろ。 

「さるくん いいながめだね。きつかったけど のぼってきて ほんとうに よかったね」    

「ふーつ つかれた。ちょっと ひとやすみ したいね。たぬきくん なにか したに しくもの もってるかい」

たぬきは ポケットから おおきな ハンカチを だすと ひろげました。

「やあ ありがとう」

さるが ハンカチに あしを のせたとたん つるりん すべって すごい はやさで たにそこへ おちて いきました。

「おーい さるくん」   
たにそこからは こだまが かえって くるだけでした。

たぬきは たにそこへ かけおりて いきました。       
 
「うあっ」            
 
いしに つまづいて たぬきも ごろごろ ころげ おちていきました。 
 
きに ぶつかりました。

「さるくん いたかったろうな」

いしに ぶつかりました。

「さるくん いたかったろうな」
 
とげの なかを ころげました。

「さるくん いたかったろうな」

やまが ぐるぐる めの なかを まわっています。

ポーンと やわらかいものに ぶつかりました。

たぬきのめに ぼんやり さるのかおが みえてきました。

「あっ さるくん だいじょうぶ」

「うん だいじょうぶだよ」 

でも さるの かおは きずだらけ。

「たぬきくんこそ だいじょうぶかい」

「うん だいじょうぶだよ」

たぬきのかおも きずだらけ。

さるとたぬきは くちゃくちゃに よごれたかおを みあわせました。

「うふふ」

「あははは」

「あいたたたあ」

さると たぬきは いつも なかよしです。