おりじなる童話 くつ
吉永光治のおりじなる童話
くつ
子ギツネと 子ダヌキが のはらで あそんでいると くつを みつけました。
「うあい。ぼくが さきに みつけた」
「ちがうよ。ぼくが さきに みつけた」
子ギツネと 子ダヌキは いそいで くつを つかみました。
「うあい。ぼくが さきに みつけた」
「ちがうよ。ぼくが さきに みつけた」
子ギツネと 子ダヌキは いそいで くつを つかみました。
「かたほうじゃ あるけないや。どちらか あしに ぴったり あったほうが もらうことにしよう」
子ギツネは じまんの あしを すーっと のばして いいました。
「うん。キツネくんがあしにあわなかったら ぼくが もらうからね」
子ダヌキは あしを とんとん ならしました。
「よし きめたよ」
子ギツネは 子ダヌキから かたほうの くつを もらうと あしを さっと いれました。
「えっへん。ぼくに ぴったりだ」
子ギツネは くつを はいて あるき はじめました。
「あれっ。へんだぞ」
あるくたびに あっちに ひょろひょろ こっちに よろよろ みちから それて かわのなかに おちて しまいました。
「どうしたの」
子ギツネは じまんの あしを すーっと のばして いいました。
「うん。キツネくんがあしにあわなかったら ぼくが もらうからね」
子ダヌキは あしを とんとん ならしました。
「よし きめたよ」
子ギツネは 子ダヌキから かたほうの くつを もらうと あしを さっと いれました。
「えっへん。ぼくに ぴったりだ」
子ギツネは くつを はいて あるき はじめました。
「あれっ。へんだぞ」
あるくたびに あっちに ひょろひょろ こっちに よろよろ みちから それて かわのなかに おちて しまいました。
「どうしたの」
「ぼく このくつ はけるかな」
「あれれっ へんだぞ」
あるくたびに あっちに ひょろひょろ こっちに よろよろ みちから それて おおきなきに ぶつかって ころんで しまいました。
「やっぱり タヌキくんも だめなんだね」
のはらの むこうから あかい かおをした おじいさんが よろよろ あるいて きました。
子ギツネと 子ダヌキは あわてて きのうしろに かくれました。
おじいさんは きのしたまで くると きょろきょろ なにかを さがして いましたが
あるくたびに あっちに ひょろひょろ こっちに よろよろ みちから それて おおきなきに ぶつかって ころんで しまいました。
「やっぱり タヌキくんも だめなんだね」
のはらの むこうから あかい かおをした おじいさんが よろよろ あるいて きました。
子ギツネと 子ダヌキは あわてて きのうしろに かくれました。
おじいさんは きのしたまで くると きょろきょろ なにかを さがして いましたが
「あっ こんなところに あった。これでおばあさんに しかられなくて すむぞ」
おじいさんは くつを はくと よろよろしながら もときた みちを もどって いきました。
子ギツネと 子ダヌキは かおを みあわせて いいました。
「あっははは あのくつは よっぱらいの くつだったんだね」
おじいさんは くつを はくと よろよろしながら もときた みちを もどって いきました。
子ギツネと 子ダヌキは かおを みあわせて いいました。
「あっははは あのくつは よっぱらいの くつだったんだね」