三宝法典 第二部 第四項 捨つべきもの

捨つべきもの

「ビクらよ、われに対しある修行者らは、根拠なくしてみだりにわれを非難す。『シャモン・ゴータマは虚無論者なり。人生の破壊と断滅を説く。』と。
 
ビクらよ、われはかくのごとき者にあらず。われは過去にも現在にも、苦悩とその苦悩の断滅を教ゆるなり。たとえ他の人が如来を非難しののしり悪口なすも、如来は心をもやさず、怒りをいだかず。またたとえ他の人が如来を尊敬し供養なすも、如来は喜ばず楽しまず、心たかぶることなし。」
  
「ビクらよ、おんみらのものにあらざるはこれを捨てよ。これを捨つればおんみらの永き利益、幸福となるなり。おんみらのものにあらざるものとはいかなるものなるや。物と感受と想いと意思と心なり。人ありて林に来たり、草や葉を運びて焼くとす。おんみらはこの時、おんみらのものを思いのままに焼くと思うはあやまりのごとく、おんみらのものにあらざるものはこれを捨てよ。これを捨つればおんみらの永き利益、幸福となるなり。」

南伝一五巻一三〇頁相応部六処篇第一六処相応棄捨品