三宝法典 第一部 第77項 三 毒

三 毒

時にチャンナ修行者はアーナンダの所に来たりて問答せり。
  
「尊者よ、むさばりと怒りと愚痴を捨てよとは、われらも教ゆるものなり。されどおんみらは、この三毒の上にいかなるわざわいを見て、これらを捨てよと言わるるや。」
  
「チャンナよ、むさぼりにあおられ、むさぼりに敗られ、心をとらえられたる人々は、みずからをそこない、他をそこない、心の苦痛を味わわねばならず。むさぼりを捨つる者はかくのごときことなし。
 
むさぼりに心をとらえらるる者は、身体と言葉と心とに悪しき行いをなす。むさぼりを捨てたる者は、かくのごときことなし。またむさぼりに心をとらえらるる者は、自利利他、自他両利を知らず。むさぼりを捨つるものはこれらの功徳をありのままに知る。

 友よ、むさぼりは人を先の見えざる者になすもの、知恵をほろぼすもの、迷いに導くもの、覚りに入るさまたげをなすものなり。怒りも愚痴もまたかくのごとし。
 
友よ、われらはかくのごとく、むさばり・怒り・愚痴の上にこれらのわざわいを見、この三毒を捨てよと教ゆるなり。」
  
「尊者よ、この三毒を捨つるにいかなる道ありや。」
  
「友よ、これを捨つるに八聖道あり。すなわち正見・正思・正語・正行・正命・正精進・正念・正定なり。」
  
「尊者よ、この道はまことにすぐれたるなり。この八聖道こそつとめ行うべきなり。」

南伝一七巻三五二頁増支部三集第三阿難品