三宝法典 第一部 第76項 反省会

 反省会

時に世尊、祇園精舎にて安居をなしたまい、安居の終わりにならわしとして、ビクらは世尊を見たてまつらんと、そのみもとに集まれり。世尊はかねてのごとく、ビクらにたずねたまえり。
  
「ビクらよ、おんみらよく忍び、またすこやかなりしや。安居の間、とぼしきことなかりしや。たがいに和合して歓喜し、争うことなく日を送りしや。食に困難を感ぜざりしや。」と。
 
また安居の間、一切無言にて日を送りしビクらの行動を評して次のごとく説きたまえり。
  
「ビクらよ、あい集まりたる時、聖なる沈黙をなすか、法の話をなすべし。唖を学ぶの要なし。また安居の終わりにはあい集まりて見・聞・疑の三事によりて、共によく従い、罪をまぬがれ、規律を尊重すべし。
 
反省会とは、安居の間のみずからの行いにつき、他の友よりその過失のさし示しを受くることなり。反省会は次のごとくなすべし。賢くして力あるビクは仲間のビクとあいはかり『サンガの大徳たちよ、今日は反省の日なり。用意よろしければ反省会をなさん』と告ぐべし。
 
反省会は上座のビクより始め、次第に新参のビクにおよぶべし。ビクは威儀を正し、すべて坐することなく膝まづき、合掌して『善き友らよ、われは見・聞・疑においてサンガに反省を乞う。わが行いに過失あらば、あわれみをもってさし示したまえ。われはこれを改むるならん』と三度これをくりかえすべし。 

反省会は二日と定む。安居の終わりたる月の十四日と十五日なり。この反省会はその地区全体のビクらなすべし。もし一人なれば反省会の日なるを念じて過ごすべし。病めるビクは看病のビクにみずからの反省を託すか、ビク全員が病めるビクのもとに行きてなすべし。
 
ビクらよ、みずから罪ありと知る者は、反省会に先だちて一人のビクの所へ行き、罪を告白しさん悔をすべし。もし罪をおかせるがごとき疑いあれば、そのごとくに告白をし、罪と分かれば改むるを誓うべし。

反省会が始まりてみずからのおかせる罪を思い出したるものは、隣りのビクにこれを告ぐべし。もしビクら全員が罪をおかせる時は、一人のビクを選び、近くの地区のサンガにつかわし、罪を述べてのちに反省会をなすべし。」

南伝三巻二八一頁律蔵第四自恣ガンド
聖黙と法談 三事(見聞疑)