国民から搾り取るだけ絞ろうという野田政権と財務省の魂胆 岡留安則の「東京-沖縄-アジア」幻視行日記

■1月某日 沖縄は場所によっては旧正月糸満市ややんばるなどが代表的だ。中国や台湾では春節という。沖縄が中国文化圏にあった歴史を物語る行事だ。そんな中、田中直紀防衛長官が就任後、初の沖縄訪問。県庁前では反対派がシュプレーヒコールを上げる中、仲井真知事と会談したが、全くのすれ違い。知事が「沖縄は?」と水を向けると、「年に一度くらい石垣や硫黄島を家族で訪れている」と答えた。エッ、硫黄島?と思ったが、伊江島の間違いだったらしく、後で訂正。当初は、基地視察の予定も入っていなかったことにも驚かされた。普天間基地参議院外交防衛委員会時代に訪れたし、キャンプシュワブは遠いので日程的に無理というのが田中防衛大臣の言い分であった。さすがに、それでは、県民の支持が得られないと思ったのか、嘉数高台から真部朗沖縄防衛局長の案内で普天間基地を視察することになった。しかし、ここでも失言。「離着陸の軍用機は少ないんでしょう」と真部局長に問いかけたのだ。一日40数回の離着陸が確認されている事実すら知らなかったのだ。大臣就任直後にも記者会見で「辺野古は年内にも着手したい」と答えたのだ。まだ、環境アセスのチェックも始まったばかり。知事が埋め立ての許可を出す確証もない。何よりも県民の大多数が反対している新基地建設に対して、防衛官僚の思いをそのまま公開しただけなのだ。田中大臣は、たぶん野田新内閣の問責決議第一号候補ではないのか。
 財務官僚の言いなりで消費税増税を目論む野田総理が、ようやく国会議員の定数削減を打ち出した。しかし、その内容は、比例の定数を80削減するというもの。誰が考えても、公明党などの少数政党が賛成するわけがない。一方、国家公務員の給与削減は棚上げされたままで、やる気は見えない。野田総理が本気で消費税増税をやる気なら、国民が納得できる予算の削減を打ち出さなければ、支持されるわけがない。政治家としてのセンスを疑いたくなる。増税派は早くも消費税は10%では足りなくなるという声を発信している。不景気と失業率の高い中、国民から搾り取るだけ絞ろうという野田政権と財務省の魂胆が透けて見える。
 それにしても、「最低でも県外」と主張した鳩山総理時代の北沢防衛大臣菅総理時代の一川防衛大臣野田総理の田中防衛大臣といい、一体何を考えているのか。防衛官僚に洗脳されたことをオウム返しに繰り返すだけ。沖縄に対する思いも、日米関係に対する努力も想像力も全く感じられない。わざと、ダメな防衛大臣を選んでいるとしか思えないほどだ。三人とも輿石幹事長の推薦だと思われるが、その条件は、「防衛省の言いなり、米国の言いなり」で選んでいるとしか思えない。例えば、国外移設を主張する川内博史議員などを抜擢する可能性はゼロなのだ。すべからく、防衛・外務・米国の枠内でしか動くことが許されていないのだ。そのことで最大の不幸を押し付けられているのが、沖縄だ。沖縄県は一括交付金普天間の地主から土地を買い上げる方針を明らかにした。返還後を見据えた都市計画のビジョンを見通すためである。政府にすれば裏切り行為だろうが、できれば、ワシントンに沖縄県の出先の事務所も作るべきだ。官僚情報に任せることなく、独自で米国議会情報や米国シンクタンクの情報を収集して沖縄の為になる対米活動を積極的にやるべきである。そのために、一括交付金が有効に使われれば、沖縄と日本の将来のためには有意義であること、間違いなしである。
 沖縄の地元紙は連日のように環境アセスに対する検証記事に力を入れている。下請けの調査会社に丸投げしただけで、ジュゴンやオズプレイの低周波に関しても科学的な検証抜きで「問題ない」を乱発。メディアはこの環境アセスを請け負った会社の正体を調査すべきである。おそらく、こうした会社は原発誘致でも現地調査を請け負っているはずだ。御用評論家や御用会社に公正な調査などできるわけがないのだ。
2012.01.23