経集 70

70 不放逸にして愛の滅尽を翼求し、聞あり念ありて聾唖に非ず、法を察悟し正決定し正勤ありて、犀角の如く応に独り遊行すべし。南伝大蔵経 第二十四巻小部経典二 一 蛇 品 二 犀角経 二三頁)
貪愛を滅ぼすことを切に願ひ、聞くべきはよく聞いて思ひは深く、道理を明らかにし、確実に心を一点に集中して、犀の角のようにたゞ一人歩いてゆかう。(毎田周一訳 釈尊にまのあたり 一周会刊)
はげしき愛の滅尽を望み怠らず、唖つんぼならず、多聞正念にして自ら制し精進し、法をおしはかり一人遊行なすこと犀牛の如くせよ。(田辺聖恵訳)
◎激しい愛欲と斗わない限り、真の仏教とはならない。そこを通って初めて、真理正法への真愛を体得する。自制も精進も、この真の法愛に導かれる。苦難を逃れる消極性が、真愛に目覚めつき進む積極性に転換する、これが回心の道。一人遊行とは法と共なるが故に、他を要しないという満ち足りのことである。田辺聖恵