三宝法典 第一部 第74項 そしりの食事

そしりの食事

時に世尊、ラージャガハの竹林、リス養育所にとどまりたまえり。そしりバラモン・バーラドバージャは、先に尊者バーラドバージャがブッダ世尊のみもとに出家せるを聞きて喜ばず、怒りをいだきて世尊のみもとに参り、はげしき悪口をもってそしり、非難せり。かく言われたまえる世尊は、そしりバラモンに仰せられたり。
  
バラモンよ、おんみはいかに思うや。おんみに朋友、親族らの客、来訪することありや。」
  
「しかり、ゴータマよ、客 来訪す。」
  
バラモンよ、しからばかれらに、堅き食、やわらかき食、うまき食を与うるや。」
  
「しかり、ゴータマよ。」
  
バラモンよ、もしかれらその食事を受けざれば誰のものなるや。」
 
「ゴータマよ、もしかれらその食事を受けざれば、わがものなり。」
  
バラモンよ、かくのごとし。おんみはそしり非難せざるわれをそしり非難す。われはおんみのそれを受けず。そはおんみのものなり。そしる者にそしり返し、非難なす者に非難し返すが、主と客の共に食し共に交換なすものと言わる。
 
われはおんみと共に食せず、共に交換せず。バラモンよ、そはおんみのものなり。」
  
「王と王臣は尊者ゴータマを『シャモン・ゴータマは応供者なり、されどゴータマも怒る』と言うを聞けり。」

  「怒りなくみずからを調えて生活し 正しき知恵にて解脱なし
   静けさを得たるかの人に     いずこより怒りが生ずべき
   怒れる者に怒り返すは      さらに悪しきことなれば
   怒れる者に怒り返さず      戦さに二つの勝利を得
   他の怒れるを知りつつも     正念にておのれを静むるは
   おのれと他者の双方の      利益を行ずるものとなる
   かれこそ双方の医師となる    法を知らずば愚者となる」
 
かくのごとく法を聞きて、そしりバラモンは厚く三宝に帰依し、出家を願いて許され、よく精進して覚りを得、聖者アラハンの一人となれり。<?font>
南伝一二巻二七六頁相応部第七バラモン相応、第一アラハン品第二そしり