考える要領 (その三)現状認識

現状認識

それは第一番に、今、現状はどうなっているか。現在の状態はどうなっているか。あまりたいした苦しみではない状態なのか。これは大事で何とかしなければならないというような現状なのか。まず自分か置かれている現状、自分白身の状態、自分の回りの状態、どれでもいいが、それ全部を引っくるめてもいいですけれど、それをはっきり把握しなければならない。分からないといけない、知らないといけない。知らないことには、どうしたらいいか分からないということになってしまう。現在の状態がどんなふうであるか、それをはっきり知るということが現状認識です。現状を認識しなければならない。認識というのははっきり知るということです。

所が私達は悩むという傾向が強い。すなわち感情的になりやすいので、詳しく知れば余計苦しくなる、だからなるべく知ろうとしないという傾向があるんです。
 
例えば「死ぬ」ということでも、死ぬということは考えると不安になってくる。苦しくなってくるでしょう。近いうちに死ぬかもしれないとこう思ったら苦しくなります。近いうちに死ぬかもしれない、それじゃあいろいろ考えない、働いたりしなくていいようになるから楽になる、それでかえっていいということにはならない。
 
だから死ぬということはあんまりはっきり知ろうとはしない。そういうことです。そういう傾向があるように、自分の現在置かれている状態、あるいは自分の状態というようなものを、苦しい、悩みがあるならば、なおさらそれを知ろうとしない。なるべく、まあなんとかなるだろうとこう思ってみたり、誰かが何とかしてくれるだろうというふうな事ばかり考えて、いわゆる希望の方を考えて、現在の状態をはっきり知ろうとはしない。そういう傾向があります。

それでは解決することが出来ない。まず考えるためには、どうしたらいいかと考えるためには、今どうなっているかということをはっきり知らなければならない。現状というものをはっきり知るということはちょっと苦しいようだけども、余計苦しくなるようだけれども、解決するため、苦しさをなくすためにはどうしても、そこを通らなければならないわけです。