経集 67

67 予め楽と苦とを離去せしめ、且つ喜と憂とを第二第三禅にて除き、第四禅にて清浄なる捨と止とを得て、犀角の如く独り応に遊行すべし。南伝大蔵経 第二十四巻小部経典二 一 蛇 品 二 犀角経 二二頁)
以前に経験した快楽と苦痛と喜びと悲しみとを忘れ去り、ありのまゝの平安と清らかさに到達して、犀の角のようにたゞ一人歩いてゆかう。(毎田周一訳 釈尊にまのあたり 一周会刊)
まず憂れいと喜びと、次に苦と楽とをなげうちて、捨と止と清浄を得、一人遊行なすこと犀牛の如くせよ。(田辺聖恵訳)
◎幸不幸苦と楽が相対のもので一生をかける問題でないことをなるべく早く気づかねばならぬ。捨は施に通じ、己の物と己そのものを他に役立て、邪悪の思慮を停止して、正善の真理法に一体化する身の行いにょって清浄化する。他を省みず一人なりとも独行するところに、真の仏教がある。確に厳しいようだが。(田辺聖恵)