おりじなる童話 おならおに

吉永光治のおりじなる童話

  おならおに

「ぶっ」

「また おならだして」
 
「ごめん」
 
たけしは おならを だすたび おかあんから にらみつけられる。

「ぼく どうして こんなに おなら でるのかな」
 
きのうだって となりの ともちゃんと いえで あそんでいたら おならが でそうになった。

がまんしょうと おなかに ちからを いれたけど だめだった。
 
いそいで そとに でようと ともちゃんに おしりを むけたとたん
 
「ぶっ」
  
おならが でてしまった。
 
「たけちゃん きらい」
  
ともちゃんは おこって、かえってしまった。
  
たけしは だいどころに いった。

おかあさんは かいものにでかけて いなかった。
 
たなのうえに まめの つつみが あった。   
 
「きよう せつぶんで おかあさんが かってきたんだな」   
 
ふくろのなかの まめを ひとつぶ くちのなかに ぽいと いれた。
 
「うあっ おいしいや」 
 
また ひとつぶ ぽい。
 
また ひとつぶ ぽい。
 
まめまき みたいに くちのなかに なげ こんだ。
 
「あれっ もう なくなっちゃった」
  
ふくろのなかは からになつた。

「おかあさんに しかられるぞ」
 
おなかが ぐるぐると なった。

「おならが でそうだ」     
 
たけしは ちからいっぱい おなかに ちからを いれて こしを まげた。
  
「ぶあーん」
 
すごい おならが はれつした。
 
「いたい」
 
たけしの おしりが ひりひりした。

「いたいよ」       
 
どこかで こえがした。
 
たけしが ふりかえると あたまに ちっちゃな つのが いっぽん はえた おにが すわりこんでいた。

「あれっ おにさん どこから きたの」

「きみの おなかの なかさ」

「なまえは」

「おならおにって いうんだ」

「うあー くさいおにさんだね」

たけしは はなを ちょっとつまんだ。

「ひどいじゃないか ぼくに まめを ぶつ けるから。とびだしてきたんだぞ」    
 
「それじゃ ぼく もう おなら でないんだね」

たけしは おなかを かかえて わらった。

きがつくと おならおには きえていた。

おならおに どうしているかなあ。