三宝法典 第二部 第九項 三毒の生滅

三毒の生滅

「ビクらよ、心して聞くべし。異教徒より、むさぼり・怒り・愚痴の三毒の法につきて問われたる時、かくのごとく説き明かすべし。
  
『友よ、むさぼりは罪けがれ少なきも、それよりはなるるはおそし。怒りは罪けがれ大きかれど、それよりはなるるは早し。愚痴は罪けがれも大きく、それよりはなるるもおそし。友よ。いまだ生ぜざるむさぼりが生じ、すでに生じたるむさぼりが増大なすは、もののよき相をよこしまに思うによるなり。またいまだ生ぜざる怒りが生じ、すでに生じたる怒りが増大なすは、心に合わざる相をよこしまに思うによるなり。またいまだ生ぜざる愚痴が生じ、すでに生じたる愚痴が増大なすは、正しからざる思考によるなり。それゆえ、こころよき相を正しく思い、こころよからぬ相を正しく思うて、慈しみの心をたくわえるなれば、むさぼりも怒りも生せず、生ずとも滅ぶものなり。正しき思いによりて愚痴は生ぜず、生ずとも滅ぶものなり。」と。

南伝一七巻三二四頁増支部三集第二大品