やる気と人間性 ある経営コンサルタントとの対話 #16(情報伝達者)

情報伝達者      

だから私は恥ずかしいわけです、日本人だから恥ずかしいわけです。だから駄目という、だから売らない、売りに行かない。では向こうから買いに来させるようにした。それはこちらが教えるということ、私の所にしかないものを私が見つけて私がそれを持っていれば私の所に買いに来るはずであるという方式をとったわけです。

あなたが私の所に買いに来たわけです、私の話を買いに来たわけでしょう。私が売りに行ったわけではないでしょう。そういうふうです。だから日本人は大体セールス向きではないんです、内向性だから。日本人全体がセールス向きではないんだから、それをアメリカ人なんかセールス型でしょう。フロンテア開拓精神を持っているんだから、彼らはセールス型、だからセールスマンも尊重される。

所が日本人は内向性だから、内気だから神経質だからセールス型ではない。セールス型でない人間をたまたま陽気なセールス型の先輩が指導すると、何彼らはこんなものも出来ないのかとこうなってしまう。全然食い違っているわけです最初から。それはもうセールス指導ではない、責めているだけです。叱咤激励というのは責めているだけ、だから劣等感もたせるだけでマイナスです。

お前は出来ない俺も出来なかった、俺も今ではしたくないんだ、だけどこう出来た場合はおれは嬉しい、喜べる。出来ないから出来た時は人一倍俺は嬉しい、出来る奴が出来るのは当たり前だろう、だけど俺のように大体セールスいやな人間、出来ない人間がたまたま出来たと、人一倍嬉しい、そういう経験を俺は持って来て、それでその喜び、その喜びが俺でも少しは出来るかなと思ってやって何回もやったが段々段々出来るようになった。

お前がセールス嫌なのはそれは当たり前だと、出来ないのは当たり前だ俺そうだったんだから、ああ先輩もそうですかとこうなる、では先輩セールスの仕方教えて下さいとこうなるわけです。

それを体当たりで行け、俺もそうやってきたんだと、これでは突き放しだから全然指導にはなってないということ。劣等感持たせるだけ。

そんな所を参考になるかならないか、私自身がセールスが出来ない駄目な人間という意識に立って私は自分の道を作って来た。売らない、教える、向こうから聞きに来させるようにするというやり方をしてきた。

本来セールスが嫌なら教育者ならいい。セールス、売りに行くじゃなくて、教えに行く人間になったらいい。情報を教える人間になればいいわけです。

今度こういう新型が出た、まだご存じではないかもしれないけれど。こういう取り柄がありますと、家族はこういうふうに得するでしょうというような、情報を伝える人間であれば、セールスしに行ったんではないわけだ。情報を教えた、お客さんの得になることを実は今日、こういういい話があると、是非していただきたいと思って、教えに来ましたと、これなら恥ずかしくない。どうですかいっちょというのは恥ずかしいわけです。そこの心理操作をやらなければならいない。

要するに日本人は内向性であってセールス型ではないという前提に立って、セールス指導をやらないと、たまたまセールス型の人間がセールス指導やるから全部問違えて行く。悪循環して行く。ということじゃないかと、私がセールスの世界を本当は知らないから言っているわけで、私の素人だから、私がセールスマンでプロでやってきたなら今のような発想出来ないでしょう。私はセールス出来ない人間、あなたも出来ないのが当たり前という発想は、私がプロでセールスマンであったならそういう発想出来ないはずです。

しかし私は全然セールスマンでないから、だから日本人はセールス向きでないということを発想できるわけです、分かるわけです。そこに立って今までのセールス指導のまずい点がそこで出て来るとすれば、じゃこういうふうにいかなければならないじゃないかということが出て来るんじゃないですか。結局人間理解ということになる。

企業経営にしてもそういう人間理解、日本人は内向性である、神経質であると、はっぱをかければかけるほど神経質になる、追い込む事になる。追い込まれればある程度はやる、しかしまいってしまう。まいってしまう。まいってしまうか、自己防衛でうわべだけやっているふりをして、息抜きをするというずるい人間を作るかどちらかなんです。

真面目な人間を追い込めば、はっぱかけて追い込めばやがてその人間は一所懸命やるから十年もすれば、消耗品になってしまってバーンアウト症候群とい肝臓が悪くなって、肝臓悪くなるというのは皆真面目型なんです、一所懸命やった人間、そしてついに肝臓が悪くなる。そういうふうに結果的には消耗品を作りますよということです。


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