原始仏教講座(全六講)第一講 その三

第一講 その三

それでは何を信じるか-ということですが、特にここでずっとこれから学習してゆくのは原始仏教、お釈迦様が生きておられた頃のことを主に学習していくわけです。その方面で話します。日本仏教を一々引き合いに出すと話が混乱しますので、原始仏教、お釈迦様の生きておられた時代に、どういうお話をなされ、どういう指導をなされたかということを中心にしてゆきます。

 三学 

三学―お釈迦様の仏教というのは、教・行・証、という三つの要素で成り立っている。

「教」-というのはおしえ。

「行」-というのはその教えを体得、身に付けるためにある程度の修道、修行をする。やってみるということです。

「証」-というのは証明。証明というのは自己証明。悟る、体験するということです。

専門的には「三学」三つの学ぶこととして、まとめられている。これは日常の話でも教・行・証というのはあるでしょう。

例えば自動車の免許を取りに行くと、自動車学校へ行く、教えてもらう、そして実習をします。教えてもらっただけでは身に付かない。車の運転練習する。そして身に付くと。実地に道路走ってみて、これでいいと、試験官が証明するわけだけども、自分でもこれなら乗れる、自分が体得した自己証明でもあるわけです。悟りというと、何か非常に難しいことのように言葉上響きますが、自分ではっきり身に付けるということです。仏教の教えをある程度練習して、自分に身に付けて、ああそうだ、こうだ、俺はこうだった、というそれが悟りです。それを証、証明の証。あかし、と言っている訳です。それが教・行・証。これは全ての事に通用します。