法句選 #10(難しさに生きる)

    『難しさに生きる』    
他を戒めることの難しさ
その都度己を顧みるからだ
己への厳しさが必要だからだ
 他を導くことの難しさ
 人間の在り方を意味するからだ
 まことの親愛さが必要だからだ
邪悪から遠ざかる難しさ
人間には弱さ醜さがあるからだ
正善聖への怠りがあるからだ

他をいましめよ、他を導けよ。邪悪なる人々より遠ざかれ。かかる人は悪人に憎まるるも、善人に愛せらるるべし。

[難しさに生きる] 温厚で親切でといっただけでは足りない。仏教者には正善聖への渇仰が要求されるからだ。学習して自分なりに得る所があれば、それに応じて他への導きを期待されるからだ。独善孤高は許されないからだ。

     『難しさは克服するものとして在る』
 釈尊仏教は知恵と友愛の宗教である。真理を中心にして、自分へのプラス、他へのプラスを波及させてゆくものである。いわば真実世界の実現を目指すものである。確かに難しいが、人類の願望でもあり、必然のプロセスでもある。