法句選 #3(この世あの世)

   『この世あの世』       
現代人は死んだらしまいと思うが
現世になした事の結果が死後となる
現在が原因ならば未来の結果もある
 未来も善かれと願う心があって
 現在を慎み精進する心があるから
 仏教者としての真の生き方になる
現在だけでもの事を考える風潮は
死後を恐れない自分本位になって
気付かぬ間に傲慢さを増してゆく

この世に悲しみ、この世を去りて悲しみ、悪を行う人は両所に悲しむ。おのれの行いのけがれをみて、かれは悲しみ、かれは悩む。

[この世あの世] 科学でも総てに過去・現在・未来を立てる。人間を例外的に死後未来を抜いてしまうのはおかしい。火葬して骨だけ残るという見方は人間の心的エネルギ-を無視した唯物思想に過ぎず、真の生き方にもならない。
   『未来が無ければ現在を全うする事は出来ない』
 死後を地獄の絵図のような表現にしたのは後世の作為である。釈尊は死後も説くが絵図のような世界ではない。過去・現在・未来の理法に合致した世界である。この理法があるから、現在を真実に生きよというのが真の仏教である。