原始仏教講座(全六講)第一講 その五

第一講 その五

 教・行・証、所が日本ではこれがばらばらになっている。システマチックになっていない。いきなり「ただ黙って座れ」「お任せ」という話になり易い。偉い管長さんがお話なさると「黙って座ればぴたりと当る」というのがありますが、あの式なんですね、日本人は黙ってというのが好きなんです。サーッというのが好きなんです。

何故か、どうしてそうなるかという発想をしたがらない、教える方もそれを抜いてしまうんです。自分はそれをやってきているんでしょうが、教える段階になるとそれを抜いてしまう。

日本人は情緒的といわれるでしょう。論理的ではあまりない、ということになる。情緒的で間に合えばそれでいいんです。所が人間には理性があるでしょう。理性があるのに、理性を抜いて情緒的だけにやっていくと、やがて行き詰まる。大きな問題で云えば、日本が経済発展してきた、経済的動物であると外国から言われる。日本は経済だけしかない。論理性がない。儲けなければ話にならないと。これは論理ではない。儲けてどうなるか、その先がない。日本国家に論理がないということが、貿易摩擦の根本原因なんです。これは日本の体質であるということになります。