Rhapsody in Red  独りファシズム

2013/01/05 00:05
この国の様相は、あまりにもソビエト連邦の崩壊プロセスに酷似している。

国家社会主義という旧体制の破壊を掲げたエリツィン政権はグローバル資本の傀儡であり、20万社に及ぶ国営企業と公共資源を民営化によって略奪するために編成されていたわけだ。

これにより特権官僚(オルガリッヒ)は天文学的な資産を築き、外資は莫大な利益を手中に収めるのだが、彼らのスキームは極めてシンプルだった。民営化した公営企業の決済代金を国民にバウチャー(金券)として均等配分し、インフレ率が2000%を超えたところで、只同然で買い戻し支配権を絶対化するという具合だ。

ちなみに、元オルガリヒであるロシア大統領候補ミハイル・プロホロフの個人資産は1兆円を突破している。

彼らの標榜した民主化とはグローバル化なのであり、社会主義から急進的な市場原理主義へ移行する混乱に乗じ、不可視的にあらゆる制度改革を達成するという、つまりショック・ドクトリン(惨事便乗型ビジネス)の典型であったわけだ。

体制の崩壊と同時にソ連邦と衛星生国では女性労働者の大半が失業状態となるのだが、これを契機にスラブ系女性が文字通り性奴隷としてアラブ、EU、北米、アジア各国に輸出され、一大産業と化したことは周知のところだ。

現在も東欧を中心とする人身売買は全く衰えることがなく、年間推定80万人が取引されているのだが、輸出国上位は依然としてロシア、ベラルーシウクライナリトアニアなどが占め、つまり崩壊を契機とする貧困と格差は凄惨に連鎖している。

あらゆる現象は諸々の構成要素間のバランスによって決定付けられるのであり、一国の終焉もまた無数のファクタによるのだけれども、ソ連邦の崩壊が官僚腐敗、財政破綻、グローバル資本の謀略、原発事故という4大要因によってもたらされたことは明らかなのだと思う。

我々が帰属する体系もまた、特権官僚が特別会計というブラックボックス化した国家予算を私的に流用し、天下り組織維持のため国防費200%以上の金を注ぎ、国税6倍以上もの予算を編成し公債を破滅的に膨張させ、内閣立法制度により法案の80%以上を策定し、独裁により議会制度を機能不全に貶め、原発事故を隠蔽し国民を被曝させ、あらゆるメディアを統制下におき言論弾圧を実践している。

そのうえ国家危機に乗じ、グローバル企業が傀儡政権を樹立し、急進的な市場原理主義によって社会資本の全領域的な略奪を目論んでいるのだから、ソビエト末期となんら変わることがなく、限りなく相似であり、むしろ制式として破滅へ向かっているわけだ。

ソ連邦市場経済へ移行する端境期には、月間2兆円ベースという人類史最大規模とされる公共資産の略奪が横行したのだが、構造改革より日本の金融市場から持ち出される金はこの比でない。

ネット言論が世論形成に微塵の影響力すら持たないとおり、能動的に情報を求めるという我々はマイノリティであり、この社会においては異質者であり疎外的存在なのだから、あらためて皆様方には改革や啓蒙などに時間とエネルギーを投じるのではなく、ただ私的に御自身と御家族の生き残りを模索して頂きたいと思う。