森田実の言わねばならぬ 2012.9.28(その1)
《今日の論点(1)》[歴史的大転換点に立って・その1]
野田佳彦内閣は中国、韓国との平和共存路線を捨て、従米・対中国・対韓国対決路線に向かって暴走し始めた。
戦後の日本の平和主義的経済国家の路線は挫折した。
日本は新たな紛争の時代に入った。
「戦争は経験なき人々には甘美である」(ピンダロス)
野田内閣は中国との紛争の道に踏み込みました。2012年9月11日の野田内閣の「尖閣国有化」の閣議決定が、日中紛争の引き金を引きました。矢は放たれたのです。日本と中国は平和共存から対立抗争の時代に変わりました。歴史は大転換したのです。
野田内閣の尖閣国有化の閣議決定に至る経過を調べてみますと、野田首相、玄葉外相、藤村官房長官とその側近の官僚幹部の一貫した意図を感じざるをえませんでした。それは、何がなんでも中国を怒らせるような形での国有化をめざしていたということです。中国側を怒らせる形での国有化によって日中対立が激化すれば、野田民主党内閣の求心力が強まる、との期待感があったと感じました。すなわち、野田首相の支持率を高め、民主党のなかに求心力をつくり出すために、国有化を強行したようです。野田首相は自らの延命のために日中の対立激化を利用したのかもしれません。野田首相にヒントを与えたのは、竹島に上陸した李明博韓国大統領だと言われています。不人気挽回のための強行策が成功したのです。対外緊張が高まれば、政治権力は強まります。
人気が落ちた政治指導者は、人気回復のため国際緊張をつくり出します。ときには戦争をします。歴史を振り返りますと、よくあることです。野田首相が、人気回復のために古典的なやり方を真似したのかもしれません。
野田民主党内閣が中国、韓国との対立に踏み込みました。野田政権は「平和外交・経済充実」の従来の政治路線を捨て、「軍事と対立」の路線に踏み切りました。民主党政権の右傾化です。民主党の右傾化に押されて、自民党は極右化を強めました。
もはや日本はアジアで孤立状態です。中国、韓国、台湾の反日三国同盟は、事実上つくられたとみてよいと思います。孤児となった日本が頼るのは「日米同盟」です。すなわちアメリカです。野田首相も安倍自民党新総裁も超従米主義への道を進んでいます。
日本国民は、いま、本気になって、戦争勢力の企みを止めることを考えなくてはなりません。いまこそ、国民全体が真剣に考えるべき時です。平和のために戦うべき時がきています。