小沢裁判と田中角栄事件 孫崎 享

 田中角栄元首相はロッキード事件で政治的に葬られました。今、戦後史を見直している中、小沢裁判とロッキード事件は類似しています.何か(1)米国が特定政治家を好ましくないと判断する、(2)その時、検察がこの特定政治家を政治的抹殺のために裁判を利用する(3)司法に持ち込む過程で、過去採用されなかった異常な訴追手法を採用する、(4)マスコミが訴追を全面的に正しいという世論を構成するです。田中排除を少し見たいと思います。
 先ず、中曽根康弘(元首相)の『大地有情』の記述を見ます。「司法処理も法治国家という点からみて疑問が残る裁判でした」「ロッキード問題に、幾つかの疑問を持つ。米国証券取引委員会から会計事務所に書類が議会に誤送されそれで公聴会に。そんなバカなことがあるかと思いましたよ。これは誰かの政略だなと、まず感じましたね。」「最高裁が違法と批判される行為を認めた。コーチャンの尋問で免責付与は日本の刑事訴訟法にはない。弁護士を立ち会わせ、反対尋問をさせなかった。
 時代の空気に、つまりジャーナリズムがつくった雰囲気に法の番人までが冒されたことは、司法にも、戦後日本にも大変な恥辱だった」。
 中曽根氏はロッキード事件米国が意図的作成の事件とみている。「キッシンジャーは私が首相辞任後 “ロッキード事件は間違いだった”と密かに私にいいました。キッシンジャーは、ロッキード事件の真相をかなり知っていたのではないでしょうか」   中曽根康弘氏はキッシンジャー氏のロッキード事件関与を認めている。日本の首相を政治的に葬った事件にもしキッシンジャー氏不関与なのに、関与というなら、大変な名誉毀損です。
 田中角栄事件は明確に米国の意図で動き、それに検察が協力したのです。私達は今小沢事件を抱えている。マスコミの反小沢像で行ってならない裁判をしているのでないか、司法の恥辱の要素がないか考える時。
孫崎 享