文書画一如

 『文書画一如』       
雅味純朴な水墨画は
日溜まりを楽しむ様に
人のこころを和ませる
 添えられた文言は
 その絵の彩りとなり
 時には主人公となる
書風は墨画に呼応して
そよ風と風鈴の間柄か
主客和して共に語らう
              
[文書画一如] 松煙墨の青みは墨色というより彩色というべきかも知れない。これに多少の絵の具をあしらえば自ずからのように温雅な画境が展開する。それはしばしば計らいを越えるものなるが故に、水墨画の大きな魅力となる。
    『巧拙を越えて文書画一如なり』
 水墨画に添えられる書はあまり自己主張をしない。その画境に調和する事を楽しむからだ。選ばれた文言もまた肩肘を張るものではない。文書画が一如となる世界は西洋画には見られないものだ。これこそが調和の魅力であろう。           田辺聖恵