実り輝き

   『実り輝き』        
柿の木になんと実が一杯
その実が陽の光を受けて
一つ一つが輝く見事さだ
 柿の木は何程努力をするのか
 自然がどんな恵みをするのか
 何やら隠された秘密が一杯だ
柿の木のような根気があれば
誰だって自分を実らせられる
自分だけの世界でないからだ
               
[実り輝き] ミカンだって輝くがあのいかにもつややかな柿の実の輝きには及ばない。柿の皮は包丁を立てにくい程の緊密さだ。だからあんなに輝く。それは時間をかけて特別な旨みを熟成してゆく秘密の仕掛けだからだろう。
     『柿の旨さは時間の巧みさだ』
 柿の旨みは合成出来ないという。それはあの独特な渋みというプロセスをもっているからだろう。つまり本物の味には時間がいるという事だ。何度かの挫折回復というプロセスが人間を熟成させてゆく話と実によく似ている。               田辺聖恵