負の文化

  『負の文化』           
余分なものを省いてゆく
それが負の文化だという
清純への願望とも言えようか
 春はあけぼのと清少納言は歌う
 これも負の文化だと言えよう
 ほのかさへの願望とも言えようか
多くの人は刺身を好むが
これも負の文化だと言えよう
新鮮さへの願望とも言えようか
               
 [負の文化]−余りごてごてした物を好まず、スッキリした物を好むのが大方の日本人であろう。そうした指向性が自ずから余分なものを省いてゆく日本文化を作ってきた。それは今後も続くであろう。たとえ都市型になろうともだ。
『日本的な負の文化にはしなやかさがある』
 淡白さはか弱さに通じる。脆さはかなさにもなる。だからと言ってしたたかさになれと言っても、体質のような精神性は急に変えられるものでもない。むしろその淡白さに徹してゆく方が脆さのカバ−も出来るのではなかろうか。 田辺聖恵