ワンセット

   『ワンセット』       
いくらか先の方をしっかり見る
足元を踏みしめてしっかり歩く
このワンセットで人は生きてゆく
 この頃の社会変化は激しいが
 変わってならない心もある
 このワンセットが実は難しい
あまり価値的とは思えない物と
これだけは大切にと思う物と
このワンセットで人は成り立つ
             
 [ワンセット]−いわゆる歩くだけなら空を見ながらでも歩けるが、車運転となればずっと先を見なければならない。イヤこの二つは次元が違うと考えるべきであろう。人間と機械だから。これを同一次元とする所に問題が生じる。
   『人生は単純と複雑のヤジロベ−である』
 物に裏表があるように、価値評価の仕方にも幾通りもがある。一つに絞る場合とワンセット平行させる場合とがある。絞れば鋭くなるが破れ易く、平行は安全的だが鈍行となる。今や選択と総合を常にセット化しなければならない。 田辺聖恵