人生半ば
『人生半ば』
三四キロそこそこで産まれて来て
曲がりなりにも自分を生きている
ボ−トで大海を渡るようなものだ
少年青年中年と 通り過ぎて来て
その時その場を夢中でパスしている
考えてみれば随分と不思議なことだ
さてこれからは夢中という訳にゆかない
自分の人生をこの様にと煮詰めてゆく
自分なりに納得して生きねばならない
[ 人生半ば ]−何の為に生きるのかとか、自分の存在価値とは何かとか、若い時には余り考えなかった人でも、中年の坂に来れば自ずから、自分の人生を意識する様になる。それは今までの反動であり虚しさのほの見えかも知れない。
『自分の存在価値を考えるのは幸福以上である』
若い時にいかにも価値がある様に思えて突進したことがあったにしても、振り返る頃にはたいがい色あせて見えるものである。それは今までがムダだったのではなく、そうした過程の上にしか人生の熟成は無いという事であろう。 田辺聖恵