釈尊の聖言 「難事は師」

  釈尊の聖言 「難事は師」
 広く学び深くきわむることは難く、初学の人を軽んぜざることは難く、また我慢を除くことは難し。善友に逢うことは難く性を見、道を学ぶことは難く、境遇に対して動かされざるは難し。相手に応じて人を救うことは難く、心を平らかに保つことは難く、是非を言わざることは難く、善く方便を解することは難し。
    「難事は師」
 私ども凡なる者が殊更に難事を好む事はない。だが常に安易な道を好むなら生活が成り立たない事位はわきまえている。釈尊はその弟子衆に対しては中道を正導された。それは程々にといった手加減の事ではない。「中道即ち八聖道」とあるごとくそれは正善聖の真理
体得法である。釈尊が説かれる様様な教えは、この中道=八聖道からの展開と言ってよかろう。
 学ぶと言ってもそれが覚りを目的とする事は間違いない。善友と言うのも仏教者の仲間たるべき者であって飲み友達といったものではない。覚りの難しさは単なる思想の理解ではなくそれが体得であるからだ。方便とは真実へ近づく手だてであるが、これすら理解し難いとは結局自分中心から一歩も出ない、自己正当化によるからか。