釈尊の聖言 「正法と戒」

 釈尊の聖言 
 バッタリよ、人々の行いおとろえ、正法はかくれて戒律ますます増大し、覚りを得る者ますます減少す。
 サンガが大となり、所得を増し、讃仰の度高まりて数が増し、年数を加えなば煩悩生じ易くなるなれば、それを防がんが為に戒律を増すなり。
  「正法と戒」
 仏教は真理正法を学習し、体得し、実行するものである。ただ単に観念的に救いを信ずるといったものではない。この実行の宗教は生活修行共に態度が重要になる。
態度が怠け的であれば生活のルール戒めを破る様になる。それを防ぐ為に新たな戒法を定めねばならなくなる。それでは初めの目的、正法の体得などはますます遠のいてゆく。今日の学校における管理強化と全く同じで、自発性が欠ければまさに対立へと転落してゆくのは人間社会の必然である。
 サンガ教団に所得が増えれば、欲望が刺撃されて煩悩的になる。多数化すれば純粋さが失われるのは、どの様な集団にでも見られる所。新しく初心を立て直す為には、群衆のムレから脱出せねばならない。釈尊はサイが独り行くがごとく行け、と仏教の原点を正導される。日本人のムレたがりには最も難しい事であろう。衆団雑居すれば冗舌を増す、とでも云う所であろうか。戒は生活態度で修行方法そのものではない。