原始仏教講座 第五講 その十二

第五講 その十二
 ここが大事な所なんですが。仏になるという話はどういうことか?ということなんです。そこを今からお話するわけです。その普通の人は、この罪の衆生はというですね、皆さん罪の衆生なんです。何の気なしに生きてきたというんだったら、もう罪の衆生なんですね。その罪の衆生とは悪いことを色々してきたということです。生き物を殺したり、嘘も言って、色々やってきた。悪業の因縁をもって、はてしなき時をすぎても、何べんも何べんも皆さん生まれ変わってきている、と一応なりますね。
 今、生まれ変ってきているというのは、何か非常にこう古臭い話のように思えますが、遺伝子的に見ると、生まれ変わりなんですね。遺伝子のDNA、RNAでしたかね、コピーして、そのコピーされたRNAが次に又DNAを作っていくわけです。だからDNAが直接次の子供のDNAにならない。一度RNAにコピーして、それがDNAを作って次のDNAになる。簡単に言えば遺伝子が一応コピーされた遺伝子が次々伝わっていく。だからコピーされるということは、むしろ生まれ変わりでしょう。遺伝子がそのまま子供の遺伝子になるわけではない。自分の遺伝子がコピーされて、子供の遺伝子になっていく。これは生まれ変わり、そう考えていいでしょう。だから矢張り私達生まれ変わる。それを何百回も何千回も何億回も繰り返してきて、私は存在するわけです。生命が出来て三十五億年経った、三十五億年の間に何億回以上も繰り返しているわけです。まさに生まれ変わり死に変わりなんです。
 そういうようにして、あなたは存在し、私も存在する、果てしなき時を過ぎているわけですね。 
 それでも、三宝のみ名を聞かず、とある。そんなに長い間生まれ変わり生まれ変わりしてきたのに、三宝という話は聞いたことがあるかというわけです。今まで聞いたことありますか?聞いたことないわけでしょう。だからまさにこのお経に書いてある通りですね、三宝の話は聞いたことがない。