原始仏教講座 第五講 その十一

第五講 その十一
 そこで法華経というお経が日本では一番流行るというか、伝教大師天台宗法華経中心に一応なるわけです。道元禅師もこの法華経を主になさるわけです。ですがその法華経の中身は仏になるぞという話、その主旨で書かれているお経なんですが、その仏になるぞ、どうして仏になる、それは宗教活動をしたならばということなんです。
 この宗教活動をするということは、そう簡単な話ではないんですけれど、宗教活動はどういうふうにするかというと、どうしたら仏になるかということをその法華経というお経では書いてあるわけです。それは法華経の第三章のはじめの方に、お弟子さんのシャリホツ、原始仏教的にいうとサーリプッタですが、私は今までそういう、四十何年お釈迦様の話を聞いてきたが、お弟子さん、私達が仏になるなんてそんな話聞いたことがないとお経に書いてある。だからびっくりしたと言うわけです。
 お経に書いてあるということは、それ以前に出来たお経にはお弟子さん達が仏になるという話はのってないんです。現に阿含経なんかお読みになると分りますが、お釈迦様はお前達も仏になるぞとは言っておられない。お釈迦様、私は仏であると言われた。私が仏であると言われたけれど、お前達も仏になるぞ、あるいはお前は仏だぞと言われたことはない。だからその法華経というお経に、一番弟子のサーリプッタが、お前達も未来において仏になるぞという話は、今だかって聞いたことがありませんと法華経というお経に書いてあるんです。