釈尊の聖言 「聖なる知恵」

釈尊の聖言 「聖なる知恵」
 聖なる知恵の具わりたるものは幸いにして、この世において安らぎ、未来は善き所にゆくなり。
「聖なる知恵」
 人間は永久不変の本体(我−アートマン=不変の魂)があると思いこめば果てしなく輪廻する事になる。死んだら終いという虚無論に立てば(順世外道)好きな事をやって死ぬという快楽主義になる。この二つを釈尊は二辺極端としてあやまりとされた。では正しくて聖なる知恵とは何か。一切は縁起し変化して止まない。魂と云えどもどの様にも変化するものである。
 それであるからこの変化の理を知って、迷惑動揺を無くし、この世において安定自由を確立し、死後もその延長上の善き所にゆく。このようにして真我、聖知恵による自己実現、これが釈尊の仏教である。人間の究極、魂論をあいまいにした仏教論は真の満足をもたらさない。たったこの一文において、真の文教を云いつくしていると云えよう。あまりに複雑な後期仏教は親切心を欠いたものと云うべきか。