釈尊の聖言 「三毒の火」

釈尊の聖言 
 むさぼりの火は欲にふけり心まひせる人々を焼き、怒りの火は心怒りて生物をそこなう人々を焼き、愚ちの火は心迷うて聖法を知らざる人々を焼くなり。知恵の輝きなく、己のみを愛する衆生はこの三つの火にて焼かるるなり。
 不浄観を修めて欲の火を消し、慈悲の心によりて怒りの火を消し、ニバーナに導く知恵によりて愚かの火を消すべし。日夜精進なせば三つの火を消して、苦を終わらしむるなり。 
 「三毒の火」
 仏教は簡単と云えば、これほど簡単な宗教も外には無いであろう。それは目的と原因解明と実現方法がハツキリと説かれているという事である。中世的神秘を要しないという事だ。目的はニバーナ、理知心情において不安不明が無くなる事、つまり苦滅である。原因はそれに到達するための障害になっている怒りと激しい欲。それを解決する方法は、それらの向下向上の両面を持つ人間を適確に知る事。そして不浄観によって愛欲を、慈悲友愛をもって怒りを処理する。さらに根源的無知から脱却する為に知恵法(八聖道)を実習する。これだけで人間として生まれてきた意味を自己実現する事が出来る。
 問題は本当にやる気になるかならないか。それが一人々々に与えられだ課題である。多くの人はよほどの廻り道をせねばならないようだ。