釈尊の聖言 岩にかく文字

釈尊の聖言 
「世に三種の人あり。第一は岩にほりつけたる文字が、雨風にさらされて消え去らず長く残るがごとく、しばしば怒り、その怒りが長く続く人なり。第二は砂に書ける文字が速やかに消えざるがごとく、しばしば怒るも、その怒りが長く続かざる人なり。第三は水に書ける文字が速やかに流れてあとを残さざるがごとく、悪口や不快の言葉を聞くも、心にとどめず、和やかなる人なり」

「岩にかく文字」
かって明治生まれの方の演説を聞いた事がある。日本は負けた、このうらみをはらさねばならぬ−と。四十年もうらみを残している。と云えば七生報国というのが随分流行した。水に書いた人と岩に刻した人があったのか。
 こゝでは悪について云われているので、善まで洗い流せと云うのではない。
 仏教は淡々となる事の様に錯覚している向きがある様だが、それは日本的雅趣みたいなもので、およそ慈悲友愛心とはほど遠い。仏教は常時精進である。喜んでする努力である。
 この仏意からすれば、悪になじまず、怒りに波立だないからこそ、善と正にひたすら打ち込む事が出来るのであろう。悪にひっかかり、そこに居すわってしまえば自己中心にしかならない。
 仏教とは「正・善・聖」の道。これを求めるか、吸い取られるかは己の縁によるとすべきであろうか。

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