マスコミ報道に異議あり

民主党代表選を巡って、共同記者会見、記者クラブ主催の討論会、街頭演説会とじっくり聞いたのですが、その印象とマスコミ報道のギャップに唖然としております。その中でも、レッテル貼りの「政治とカネ」に関して何か参考になる文章はないものか探しておりましたら、なかなかの卓見を見つけましたので、紹介いたします。

岩手県知事の達増拓也氏が小沢一郎氏の「政治とカネ」問題について的確な発言を示している

平成22年8月30日知事会見記録
記者:民主党代表選に絡む動きですが、ここ数日の間で、主に首相サイドからのアプローチだと思うのですが、対立回避に向けた、融和に向けた動きというのが鳩山さんを仲介人としてなされています。具体的に言ってしまえば、多分小沢さんの出馬を翻意してもらおうという動きともとれるのですが、こうした今現 在の状況についてどうお考えでしょうか。

知事:今まで民主党で代表選挙を行う時に、小沢一郎さんが無競争で代表にという流れになりそうな時には、「みんなで選挙をしなければ駄目だ。対立候補 を立てなければ駄目だ。菅君、立ちなさい。」というのは、渡部恒三さんが、かつて前原代表が辞めた直後の状況の中で言ったせりふです。2年に1度行うと決まっている代表選挙ですから、民主党のガバナンスの問題として2年に1度、その時その時で誰が一番代表にふさわしいかということを決め直していきましょうと党則で決めて、全国の党員サポーターも巻き込んで行う話ですから、それを何か調整して実施しないことにするというのは妙な話だと思います。代表が辞めて、急遽次の代表を選ばなければならないという時に、幹事長が中心になって選挙をしないで次の代表を決めるというのは、菅直人さんがかつて代表を辞めた 後、岡田さんが代表に選ばれるプロセスで、岡田幹事長が周旋して自らが代表になるというパターンであったことなのですが、2年に1度の代表選挙はきちんと行うのが原則だと思いますし、まして今現職で代表をしている側が、ほかの人が立候補するのをつぶしにかかるというのは、これは権力の濫用以外の何物でもない、めちゃくちゃな話ですので、そうなることは望ましくないと思います。

記者:今回の民主党代表選が、小沢さんと菅さんの対決になるとされる根本は、そもそもは菅さんの小沢外しというのが1つあったと思うのですが、逆に小沢さんが総理になられた場合、人事の処遇で、菅さん又は菅グループ等について、どのように扱えばいいと思いますか。

知事:全然心配していないのですが、まさに小沢、菅で代表選挙を争った、前原代表が辞めた直後の局面で、小沢代表になって、菅さんが代表代行になり、 鳩山さんが幹事長になり、トロイカ体制で、それで参院選にも勝利して、政権交代への流れをつくっていったという例がありますので、小沢一郎代表であればきちんと適材適所、人を生かしながら党勢の拡大、そしてそれがひいては日本全体を良くしていくということを力強く進めることができると思います。過去にそういう実績があるわけで、全然心配していません。

記者:つまり菅さんをきちんと処遇してあげることができるということでしょうか。

知事:ただ、去年のマニフェストを1年もたたないうちにやめてしまおうとか、党内の合意もないのに消費税アップを決めて打ち出して選挙で大敗するとか、そういう人を、そういうことにかかわるところで遇するのは常識から考えると難しいのだと思います。まさに適材適所、その人に合ったところで、中長期的 に税のあり方を考えるところのトップとかは良いのかもしれません。そのように適材適所で行えば良く、今まで偉かった人をこれからも偉いままにすればいいと いうものではないのだと思います。

記者:今、世論調査等がいろいろなところで行われていますが、大方の予想どおり小沢さんよりは比較的菅さんにシンパシーのある結果が出ていると思うのですが、それについてはいかがでしょうか。

知事:インターネット上の世論調査では、読売オンラインが小沢さんの出馬を支持するかで、支持するという人が圧倒的、スポーツニッポンの菅、小沢のどちらが良いという調査で小沢さんが圧勝と、ネット世論調査では小沢さんの圧勝というのが出ていると聞いており、そうするといろいろと知っている人は小沢さんを支持しているということなのだと思います。逆に言うと、大手新聞社や通信社等が行っている世論調査では、その対象となっている国民がいろいろなことを 知らされないまま答えてしまっているのかと思います。政治と金の問題とか言いますが、いろいろと有名なネット論客の人たちの発言、それがツイッターで普通 の人とかともやりとりされている中では、もう政治と金の問題というのは検察がつくった虚構であると。そもそも西松事件も村木厚生労働局長の事件と同じように、検察側が呼んだ証人が検察に反する証言をしていて、無罪になる可能性が高く、陸山会問題も逮捕や起訴に相当するような訴因ではないと。更に言うと、検察審査会の今やっている審査を申し立てた人というのが、外国人の権利に強く反対するという外国人排除的な政治運動を行っている人が申し立てたのであって、 かなり小沢一郎は左翼で駄目だ、中国に甘いから駄目だみたいな中で、検察が暴走してこういうことになっていることが、インターネットの中では広く知られるところとなってきているのだと思います。国民全体に知らせるのは、マスコミが報道ぶりを転換すればすぐできるかもしれないのですが、今までのようなマスコミの報道ぶりですと、そういうネット上では共有されている大事な知識、情報を国民にきちんと伝えていくには、2,3年かけて志ある人たちが国民一人ひとり に直接伝えていくということをやらなければならないのだとは思うのですが、今回は民主党の国会議員さんと地方議員さんと党員サポーターですから、2週間あればかなり真実は浸透するのではないかと思っています。

記者:本県では、県連の幹部を中心に、有志の形で小沢さんを総理にするための組織というか、運動を展開しようという動きがあります。知事は、そうした動きと、またはそうした動きに並行して、どういった形で協力されるでしょうか。

知事:岩手県は、いち早く大事な情報を知った人、そして志を持つ人が多いところで、岩手から、ふるさとから総理をという気持ちの問題と合わせて、やは り使命感で、ここで日本をまともにしていかなければならないということを岩手から起こしていこうということが相談されているのだと思います。私も知事という行政の長としての立場とか、あるいは党の党員、一兵卒みたいな立場とはまた違う政治家個人としての立場で、そういう志を同じくする人たちと何か一緒にできる、行った方が良いというのであれば、行っていきたいと思っています。

記者:今の答えに関してですが、今のマスコミの報道では、なかなか一般の国民は小沢さんの本来の姿が分からないのではないかというお話だったのですが、知事から見て今のマスコミの小沢報道というのは偏向しているとお考えでしょうか。

知事:まず、報道の自由というのがあって、取材の自由とか、編集の自由とかもありますから、それぞれ書きたいことを自由に書き、出版すれば良いのだと は思っているのですが、ただそもそも今小沢一郎さんが日本の総理大臣ではないということはとても異常なことだと私は思っています。というのは、西松事件で 元秘書が逮捕されて、そのことで代表を辞して、それで代表として去年の総選挙に突入することができないで総理大臣になれなかったわけですが、今やその西松事件というのはきちんと裁判していれば元秘書は無罪になるであろうということが見えてきています。その裁判を止めてしまうために、陸山会事件という別の事件でまた逮捕して、西松事件のその決着が出ないようにもなってしまっている。ということで、小沢一郎さんが本当は総理になっていてしかるべきなのに、なっていないという異常事態を引き起こす中で、マスコミはそれを防ぐ役割は果たせなかったということだと思うし、そして今現在もその異常さを是正する役割は果たしていないと思います。